医学部入試で他学部の入試科目と異なることの1つとして、ほぼ全ての大学で「面接試験」が課されます。国公立大医学部でも「面接試験」が重要視されており、2021年度から予定されている新しい入試制度に向けて、今後は各大学ともより「面接試験」に力を入れる傾向にあります。

「面接試験」の現状
私が3大予備校の1つである大手予備校に初めて勤務した27年前、多数の国公立大や私立大医学部志望者の担任をしました。当時の記憶は少し曖昧ですが、私立大学では「面接試験」がほぼ全ての大学で課せられていたと思います。国公立大に関してはあまり記憶がありません。受験生からも「面接試験」についての相談を受けたことがなかったように思います。生徒は、英語や数学、理科などの教科のみに集中をしていました。
今現在はと言うと、大学単位で見ると私立大学では全ての大学で、国公立大学は東京大学が2016年度から推薦入試において「面接試験」を導入することとなり、九州大学のみが「面接試験」を課さないことになりました。
大学側にとって、一般試験で「面接試験」を行うということは、非常に多くの労力を必要とします。紙ベースの試験とは違い、絶対的な正解が存在しません。私立大などは志願者数が多く、当然「面接試験」対象者も多くなります。面接官のご負担やご苦労は並大抵のことではありません。
なぜ「面接試験」は重要になったのか
それでも各大学で「面接試験」を重要視するようになったのには、いくつかの理由があります。
①「生命倫理」について、昔よりも医師に求められることが多くなりました。昔は、ただ頭がいいから最難関の医学部に入学する生徒も多くいました。ところが、今では、将来、本当に医師として「何をやりたいのか?」を求められる時代となりました。学力だけではなく人格や資質も求められます。
②例えば、医師から患者へ治療方針を説明する「インフォームド・コンセント」が一般的になり、医師には患者との意思疎通(コミュニケーション力)が必要となりました。また、「セカンド・オピニオン」が一般的になったり、『患者を治せば良い』だけでは、医師として不適切な時代となりました。
面接試験で不合格もあり得る
真相は定かではありませんが、2014年度の京都大学医学部入試の面接試験で、ある生徒の面接試験の点数が50点満点中0点ということが、ネット上で話題となりました。また、数年前にも秋田大学医学部の前期・後期共に面接試験が、200点満点中0点の生徒のことが話題となりました。
これらは少し極端な例かも知れませんが、ここ数年の「面接試験」の重要度が確実に増していることを感じています。
そして、合否に影響を及ぼすまでになっていることは確実です。
さて、「面接試験」につきましては、お伝えしたいことがたくさんあるため、今後、数回に分けてお伝えします。