前回の[国公立大学編]に続き引き、[私立大学編]をお伝えします。
入試結果を振り返ることで、2025年度の医学部入試の動向を予測することができますので、参考にしてください。
私立大学医学部の志願者数は
前期・後期日程とも大幅増
【表1】は、私立大学医学部[一般前期日程]の志願者数の推移です。前年度比111%(+ 7,550人)と、大幅増となりました。私立大学は31校あるので、1大学あたり243人の増加となります。私立大学
は、1人が複数の大学に出願可能なので、「のべ」数となります。
次年度からの新課程入試を考慮して、浪人をしたくない受験生の中には、私立大学の併願校を増やした人が多くいたのではないかと推察できます。少子化であること、学費が高額であることを考慮すると、私立大学の医学部人気は堅調でした。
【表2】は、[一般後期日程]の志願者数の推移です。全私立大学31校中12大学で後期日程を実施しています。2024年度入試から獨協医科大学が新たに加わり、志願者数は大幅増となりました。前期日程同様に、浪人を避けたい受験生が多かったことが影響しています。
私立大学の後期日程は、試験日までにいずれかの国公立大学や優先順位の高い私立大学に合格している場合、後期日程出願をしていても受験をしない受験生が多いです。国公立大学の後期日程とは異なり、どこの私立大学にも合格していない受験生にとってはチャンスがある場合があります。
私立大学医学部は前期・後期とも
試験日程の重複に注意
【表3】は、私立大学医学部[一般前期日程]で志願者数の増減の大きかった大学です。私立大学は、大学側が試験日を自由に設定できるため、受験生は複数校の併願が可能です。1次試験(学科試験)の日程が他大学と重複する場合は、志願者が分散することで受験者数は減少します。
例えば、昭和大学を見ると、前年度は単独で1次試験を実施しましたが、2024年度は2 月2 日に4大学(昭和大学、埼玉医科大学、東海大学、福岡大学)が重複したことで、志願者数が大幅に減少しました。逆に聖マリアンナ医科大学や愛知医科大学、近畿大学は、単独実施となったために志願者数は大幅に増加しました。
後期日程も試験日の重複が大きく影響しました。前年度に1次試験が重複した日本大学、日本医科大学、聖マリアンナ医科大学、関西医科大学の4大学の中で、関西医科大学以外が単独実施となったために、大幅に志願者数が増加しました。
私立大学は、毎年変わる試験日を見ることで志願者数の増減を予測できます。2025年度入試の受験日カレンダーは、ここ『医学部受験ラボ』にまとめています。
これにより、私立大学は受験校を戦略的に選択することで合格可能性が高まる場合もあります。
私立大学の共通テスト利用については【表4】で見ることができ、志願者数がわずかに増加しました。旧課程最後の入試であることで、国公立大学の志願者にとっても併願しやすかったことが志願者数の増加の要因です。共通テスト利用の大学の中には、私立大学と同じ試験科目(英語・数学・理科)で受験可能な大学もあるため、受験校選択の際に併願校の1つとして考えてよいでしょう。
共通テストの結果は、前々回のblogでもお話ししています。
2024年度の大学別ボーダーライン
(入試結果)
【表5】は、私立大学の一般選抜前期日程の個別試験のボーダーライン偏差値です。一般選抜前期日程は、共通テストを受験する必要がないため、個別試験のボーダーライン偏差値のみとなります。一部の大学は前年度より難化または易化しましたが、ほぼ前年度並みの難しさでした。私立大学は複数校に合格した場合、優先度の高い大学に入学をするため、ほぼすべての大学でボーダーラインが少し高くなります。国公立大学は、合格するとほぼ入学するために、入学者の実態を表したボーダーラインとなります。