2024年度入試は旧課程で実施される最後の大学入試であることがポイントでした。浪人をすると、新課程生と共に2025年度入試で受験することになり、これを避けるために安全志向に走る可能性がありました。
入試結果を振り返ることで、2025年度の医学部入試の動向を予測することができます。
2024年度の国公立大学医学部の入試結果をお伝えします。
国公立大学医学部の前期志願者数は
ほぼ2024年度と同じ
少子化の影響で、2024年度の18歳人口は約3.4万人減少し、国公立大学の志願者は約2万1千人減りましたが、医学部医学科(前期)の志願者は1万5973人で、前年度(1万5960人)からごくわずかですがプラスとなりました。【表1】
志願者数の減少につながらなかったのは、医学部人気が堅調であることと、後で述べる共通テストの平均点アップが影響していると考えられます。
【表2】は、後期日程の志願者数の推移です。医学部の後期日程は国公立大学50校中16校しか実施しておらず、その特徴は定員が少ないこと、2次の個別試験は面接や小論文試験を中心に行う大学が多いこと、共通テストの得点を重要視する大学が多いことです。同じ大学で比較すると、前期よりもボーダーラインが4~5%ほど高くなります。
国公立大学医学部をめざす場合、前期日程に狙いを定めて、受験勉強の計画を立てることがセ
オリーと言えます。
国公立大学医学部の前期日程は
「隔年現象」や入試変更状況に注意
国公立大学医学部前期日程で志願者数の増減の大きかった大学を【表3】にまとめました。旧帝大などを中心とする超難関大学を除き、志願者数の増減が隔年で繰り返される現象が多くの大学で
起こります。これを「隔年現象」と呼びます。
隔年現象が非常に大きかった大学を、過去3年間の志願者数の推移とともに挙げると、富山大学、浜松医科大学、鳥取大学、香川大学、愛媛大学、長崎大学などです。2025年度入試は、逆の動きをする可能性が高いと考えてよいでしょう。
受験生は最低でも過去3年間くらいの志願数の推移を調べておく必要があります。2025年度は、逆の動きをする可能性が高いでしょう。
隔年現象以外にも、志願者数が大きく動く場合があります。これは、定員や入試科目、第一段階
選抜基準など入試変更を行った場合に起こります。
岐阜大学は、前期日程の第一段階選抜基準を9倍→3倍に変更したことで、志願者数が大幅に減少しました。奈良県立医科大学の前期日程は、これまで英語・数学・理科だった個別試験を小論文試験に変更し、また、共通テストと個別試験の配点比率を、1:1 から9:1に変更。この影響で志願者数が大幅に減少しました。このことにより一部の受験生が、隣県の三重大学や和歌山県立医科大に流れました。
志願者数の増減は、入試難易度(ボーダーライン)に影響を与える場合と、そうでない場合があります。例えば、ボーダーライン以下の志願者が大きく増加しても、その大学はほとんどの場合に難化はしません。逆に、ボーダーライン以上の受験生が増加すると難化をします。
入試変更点の内容によっては、志願者の流れが大きく変わる可能性もあります。2025年度入試 医学部入試変更点は、随時最新情報をここ『医学部受験ラボ』にまとめています。
2024年度共通テストの結果
4回目の実施となった共通テストは、出題内容、平均点も概ね前年度を踏襲したものでした。
医学部志望者の多くが受験する受験型である5教科7科目の平均得点率は、河合塾共通テストリ
サーチによると1%(+ 13 点)上昇しました【表3】。これにより、安全志向に走らず予定とおり医学部に出願したことで、少子化にもかかわらず医学部志願者数は減少しませんでした。わずか1%ですが、得点率80%以上の人数分布は前年度比109%となり(河合塾共通テストリサーチ結果)、この層は医学部をはじめとする難関大学に出願するので、医学部の入試難易度に影響を与えることになりました。共通テストのボーダーライン得点率は、多くの大学で1~2%アップしました。
2024年度の大学別ボーダーライン(入試結果)
2024年度医学部入試における大学別のボーダーラインはどうだったかを、河合塾が実施した合
否追跡の結果から見てみましょう。
【表4】は、国公立大学前期日程のボーダーラインです。
前述の通り、共通テスト5教科7科目の平均得点率が前年度よりも1%アップしたことで、多くの大学でボーダーライン得点率が1%以上上昇しました。ただし、得点率80%以下を見ると、前年度と同じまたはダウンした大学が多かったです。共通テストのボーダーライン得点率は、年度ごとに異なる可能性がある平均点により変化します。
最新の2025年度河合塾が設定する大学入学共通テスト目標ボーダー得点率、ボーダー(2次)偏差値は、ここ『医学部受験ラボ』にまとめています。