新学年を迎える4月。この頃になると幾つかの週刊誌で、東大・京大や医学部に多くの合格者を輩出した高校の特集が組まれます。
今回は、国公立大学医学部に多くの合格実績を出す高校に注目してみます。
ランキング上位の高校の秘密
医学部に強い高校と言うと皆さんはどのような高校を思い浮かべますか?自分が通っている地域の近隣で、入学するための偏差値が一番高い高校を思い浮かべる人が多いかもしれません。果たしてその通りなのでしょうか。
まずはサンデー毎日(2017・4・30号)の特集記事「国公立大合格者医学部医学科ランキング」から、ベスト10(高卒含)の高校を見てみましょう。
1位:東海(愛知)、2位:灘(兵庫)、3位:洛南(京都)、4位:久留米大附設(福岡)とラ・サール(鹿児島)、6位:愛光(愛媛)、7位:開成(東京)、8位:甲陽学院(兵庫)、9位:東大寺学園(奈良)、10位:熊本(熊本)
特徴を箇条書きします。
①熊本高校を除いて、全て私立の中高一貫校
②関東地方の高校は開成高校のみ
さて、①については何となく想像できる人も多いかと思います。私立中高一貫校の優位性は、難関大学合格に向けた独自のカリキュラムで授業を行えることです。授業内容だけでなく、授業進度も大きく関係します。
また、これらの高校では、入学時点で既に医学部に行くと決めている生徒も多いです。この「皆が医学部をめざす!」雰囲気がとても大切なんですね。友人同士で勉強を教えあったり、励ましあったりできます。
次に②です。関東地方にお住いの方には、耳慣れない高校もあるのではないでしょうか。今年、新規にメディカルラボ校舎を開校した鹿児島と那覇に、何度か足を運んで生徒や保護者と話をしましたが、地元で就職しようと考えると公務員と医師くらいしか選択肢がないようで、必然的に地元の医学部へと考える人が多くなっているとのことです。地方に行けば行くほどこの傾向は強まり、「東大・京大よりも地元の医学部」→「全国の医学部の難化」につながっています。
また最近は、医師不足解消のための「地域枠入試区分」を設けており、地元出身者などに有利な入試を行う大学が多いこともあり、これらが原因で地方での医学部人気につながっています。
関東地方は安定した大企業も多く、ここ最近は人手不足で求人倍率も非常に高いことから、無理して医学部にいかなければならないと言う状況ではありません。
したがって地方以上に、関東在住の人には、東京を中心とした関東の難関大に人気があります。
最後に、ランキングの上位高校に在籍していなくても、多くの人が医学部に合格していることを忘れてはなりません。医学部の2017年度入学定員は、全日程を合わせると9,420名もあります。早くからきちんと意識を高く持って勉強をすることが、医学部合格に近づきます。