親が子供に「医学部に行け」「病院を継げ」と口癖のように言うことは、逆効果になる可能性が高いことはご想像いただけると思います。成績以前に、まずは医学部へ進みたいという意思がなければ何も始まりません。
では、どうやって子供の気持ちを医学部に向かわせるか、そのために保護者が行うべきことは何でしょうか。
以下3つほどお薦めしたいことを挙げます。
親子の会話の中で医学部や医療に関する会話をすること
1、親が医学部受験の知識を持つ
前回お伝えした通り、昔より格段に医学部合格が難しくなったことを保護者は理解する必要があります。「国公立がダメなら私立」はほとんど通用しません。受験システムも変化しており、学力以外にも戦略が必要です。例えば、志望校選択や受験する大学数、受験スケジュール、自分の能力が発揮できる入試問題を出題する大学、面接試験対策などは、大きく合否に影響します。
メディカルラボでは年に数回、医学部志願者とその保護者向けの講演会を実施しており、保護者の参加数が大半を占めることも多くあります。これにより、子供との情報格差が少なくなり、会話の機会ができるようになります。
2、医療・医学に関する情報を日常生活に取り入れる
私が子供の頃と比較して、テレビで医師を主人公にしたドラマや医療を題材にしたドキュメンタリーが頻繁に放映されています。また、iPS細胞やイベルメクチンなど、ノーベル賞に関係するニュースも増えました。明らかに医師の役割や仕事に結びつく機会が多くなっています。このことは開業医以外の一般家庭の子供が医学部をめざす大きなきっかけにもなっています。
可能であるならば、子供が小さな時期から一緒に医療ドラマを観たり、医療のニュースについて話をするなど、少し意識してやってみてはと思います。『A-LIFE~愛しき人~』や『ドクターX』など、高視聴率のテレビドラマの影響は、今後、医学部志望者の増加につながる可能性があります。
3、子供とオープンキャンパスに参加する
オープンキャンパス(以下、OC)の参加を勧めています。親、兄弟、親戚など身近な人が「医学部をめざそう!」と言うより、第三者の方が説得力がある場合もあります。OCでは、どの大学も少しでも意識の高い生徒の獲得をめざし、さまざまなプログラムを用意しています。大学の先生だけでなく現役医学部生も加わり、入試のこと、受験勉強のこと、授業のこと、楽しいキャンパスライフのことを熱く語ってくれます。医学部進学に関心のない生徒でも興味を抱かせます。
OCは毎年6月から10月にかけて実施されますが、それ以外の時期でもキャンパス見学が可能な大学もあります。保護者が医学部出身ならば、母校に子供を連れて行くなども良いかと思います。
子供は何がきっかけとなって、医学部をめざすようになるかわかりません。医学部入試は保護者とともに考えるのが一般的となりました。お忙しい毎日だと思いますが、時間があるときに、できることからやってみることが大切だと思います。