現在の高3生が初回となる新課程入試。幾つかの変更点があります。
特に大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、国公立大学医学部を受験する場合、大学入試センター試験の時代も含め、長らく5教科7科目900点満点で受験する場合がほとんどでしたが、新課程では「情報」が追加されて、6教科8科目1000点満点になります。
ここ10年間で私たち個人の生活にもスマートフォンを含めたデジタルデバイスの浸透があり、さまざまな情報を入手可能になりました。同時に、個人情報の扱いや偽情報の問題等、注意しなければならないことも多くあります。そのような背景の中で、文部科学省もようやく「情報」の必須化と共通テスト導入に踏み切ったのではないかと思います。
2025年度の共通テストでは、ほとんどの国公立大学において、「情報Ⅰ」の受験を必須としています。医療現場では、最新鋭の医療機器や個人情報を扱うため、当然「情報」に関する知識はとても大切になります。一方、私立大学の医学部も含め、個別試験で「情報」の受験を必須にしている大学はありません。
高校での「情報」科目の授業
新課程が始まる2022年以前も、高校の授業に「情報」に関する科目(「社会と情報」「情報の科学」)はありました。しかし、受験科目としてそれらを課す大学はほとんどなかったため、多くの高校ではそれほど「情報」の授業に力を入れておらず、受験生にとっても受験勉強の対象ではなかったのです。
私がさまざまな高校の先生と話してみて分かったことは、授業での「情報」の取り扱いについては、高校によって格差があるということです。重要性は理解しているけれども、「情報Ⅰ」を教えられる教員が少ない場合や、教え方の問題、働き方改革が影響をしている高校もあります。
医学部で共通テストの「情報」科目の配点が高い大学
共通テストは6教科8科目、計1000点満点になりますが、各大学は科目ごとに配点を変えることができます。一般に、これを「傾斜配点」といいます。「情報Ⅰ」は100点満点ですが、大学ごとに配点を変更します。例えば、北海道大学は、「情報Ⅰ」を必須としていますが、配点化はしません。ただし、2026年度入試からは配点化を予告しています。
国公立大学全体を見ると、ほとんどの医学部では配点化をしますが、共通テストにおける「情報Ⅰ」の配点比率が10%を超える大学もあります(表1)。これらの大学を志望している場合は、「情報Ⅰ」を無視することはできません。ご存知のように、医学部は1点が合否を左右するからです。共通テストの自己採点の結果で志望校変更を余儀なくされる場合もあるかと思いますが、「情報Ⅰ」の点数次第では、変更できる大学の選択肢が減る可能性もあります。
その意味でも「情報Ⅰ」は軽視できないものと言えます。
共通テストの「情報Ⅰ」対策は早めに!
「情報Ⅰ」の対策はとにかく早めに基礎固めを行うことです。9月以降は、英語・数学・理科を中心とした個別試験で必要となる教科・科目の対策に時間を費やすことになります。「情報」は、受験生によって向き・不向きがあります。共通テスト形式の模擬試験を受験している人は、自身の状況が分かっていると思います。「あまり向いていないかも」と感じている場合には、教科書や参考書を用いて復習し、問題集に取り組むなど、今のうちに少しずつ準備を進めておきましょう。