新学期が始まりました。このブログの読者には医学部合格に向けて全力投球をしている人が多いかと思いますが、中には「どうしようかな?」と考えている人もいると思います。
今回は、現時点で医学部進学を選択することが正解なのかを考えてみます。
『消える仕事』と『なくならない仕事』
1、10~20年後に『消える仕事』
高校やメディカルラボの講演会などで講演する際の冒頭に、スライドを使って話をすることがあります。それは「医学部進学を選択して正解」だということです。
その際にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン先生が書いた「雇用の未来」という論文(2013年発表)があります。下表は、10~20年後に消える仕事を、論文から上位を抜粋しています。
タクシーの運転手、レジ係、銀行窓口、集金人、飛び込み営業、電話営業、ホテルの受付、ネイリスト、小売店販売員、一般秘書、電話オペレーター、一般秘書、データ入力者など(上位を抜粋) |
IT、AI、IoTなどの進歩により、これらの仕事は、近い将来には消えると論文では言っています。少し前には不可能だった自動運転や3Dプリンターなども、一般的に認知されてきました。私の近所のスーパーでは、有人レジよりも無人レジの台数の方がはるかに多い状況です。食料以外の買い物はネットで購入することが多くなるなど、少し前では考えられないことが起こっています。
よって、若い人達が職業選択は慎重にしなければと考えても、これからはほぼ不可能に近いかもしれません。
2、10~20年後に『なくならない仕事』
では、なくならない仕事はというと…
内科医、外科医、歯科医、心理カウンセラー・心理学者、口腔外科、メンタルヘルスサポート、作業療法士、栄養士、ソーシャルワーカー、小学校教員、教育コーディネーター、警察、緊急事態の管理監督者、振付師など |
上位1~20位から抜粋して並べ替えています。これを見てわかる通り、医療系、教育系、緊急事態対応系で占められています。近い将来、この分野ではAIなどの技術に全てが取って代わることはないようです。医療系で考えてみれば、ますます日本は超高齢社会に移行します。検査機器などは日々発展を遂げていますが、患者さんの不安を和らげたり、手術を含めて柔軟な応対をできるまでには、まだまだ時間がかかるようです。
「病気でなく、人をみろ」という言葉があります。これは生身の人間である医師にしかできません。医学部入試でも面接試験が非常に重要視されてきたことにも現れています。
3、『医学部進学を選択すること』は正解
昔は企業に就職すれば、年功序列・終身雇用の恩恵を受けることができました。しかも、大企業ならば高収入も保証されましたが、ここ最近の東芝やシャープなどの状況を見ていると、昔のことは幻想にすぎなくなりました。
ここ最近の医学部人気は、現在だけでなく、過去と未来を含めて、なんとなく時代の流れを感じ取った結果が反映されていると思います。
長い間、受験生と接してきて感じるのは、医学部志望者については昔と比較すると、圧倒的に「人の役に立ちたい」と考えている人が増えたと思います。人に感謝されて、失業の心配や定年もなく、女性が専門職として活躍できるのは医師のみかもしれません。
さあ、医学部をめざして頑張りましょう!