国公立大学は、既に各大学ともに志願者数を公表しています。志願者数からみた2018年度の医学部入試の結果を分析してみます。
国公立大学医学部の志願者数は減少 その①
国公立大学の志願者数は、前年比約95%となり、昨年を下回りました。
[全体動向]
国公立大学の志願者は、2018年度は前年比約95%前後となり昨年を下回りました。これは、以下の2つのことが主な原因として考えられます。
①「2018年問題」
②「ここ数年、大学卒業見込者の就職率が高い」
①は、少子化の中でここ数年間は18歳人口が横ばいでしたが、いよいよ2018年から減少に転じることと、少子化の中でこれまで上昇していた大学進学率も今後の上昇が望めないことで、大学や受験産業界にとって経営等の変革を迫られることを示します。
その影響が医学部の志願者動向にも、いよいよ出てくる可能性が高くなりました。
②ここ数年間、日本は好景気の状況のもと、多くの企業で人手不足が続いており、大学卒業見込者の内定率が今年度は過去最高を記録するなど非常に高く推移しています。
このような状況下で、何がなんでも最難関の医学部へ行きたいと考える受験生が減ってきているのではないでしょうか。特に憧れだけで医学部を志望していた人達が、医学部合格の難しさを知って、志望を他学部に変えた場合も多いように思えます。
[国公立大学・前期入試]
ここ4年、前期日程の志願者数は減少し続けています。2018年度は前年比95%、実数で約990名の減少となりました。志願者数の合計は約17,100名で、総定員が約3,690名ですから、志願者倍率は4.6倍となります。2017年度の同倍率が4.9倍なので、倍率の上からは僅かながら入りやすくなったと感じるかもしれません。
ただし志願者が減っても、成績上位者層の志願者が減少しなければ、実質的に入り易くはなりません。現状で考えると成績上位者層の多くは、医学部やそれ以外だと東大・京大など旧帝大を中心とする難関大学を志望します。よって、現状では、医学部の難度は例年とほとんど変化しておらず最難関であることに変わりはありません。
関東・近畿などもともと人口が多く、医学部志願者が多い地区では、上記②の影響もあり、志願者が大きく減少しています。一方、北海道・東北・東海・九州・沖縄では、ほぼ昨年並みかそれ以上の志願者を集めており、医学部人気は継続しています。
ここで取り上げていない大学で、トピックスなど判明したら、この「医学部受験道」や夏に開催する「医学部入試ガイダンス」や「メルマガ」「医学部受験ラボ」などでお伝えする予定です。