先日、朝のテレビニュースを見ていたら、産婦人科医院の減少が取り上げられていました。このことは、医師不足だけでなく、地域医療や少子化対策の問題にまで及ぶと思います。
産婦人科病院は24年連続で減少!
厚労省の発表によると、産婦人科や産科がある医療機関は24年連続で減少して1361施設となり、過去最少を更新したと発表されました。また、小児科も21年連続で減少して2656施設となりました。
これらの原因について厚労省では、「少子化による出生数の減少だけでなく、夜間や休日の診療など過酷な勤務が影響している」と分析しています。この他に、産婦人科医は他の診療科と比較すると、訴訟リスクが高いことも原因だと言われています。
以前、私が担当した女子の生徒で、産婦人科医をめざしている人がいました。小さな頃から父の産婦人科医としての姿を見ており、将来は父の病院を継ぐことを目標にしていました。その女子生徒は、5年ほど浪人生活を送りましたが、最後は第一志望の医学部に合格をしました。この生徒が医学部を諦めずに勉強を続けたられた一番の理由は「新しい生命の誕生に立ち会いたい」という目標がぶれなかったからです。
医師不足について、根本的には絶対的な人数の不足があります。そして、これが「地域偏在」や「診療科偏在」につながっています。
これらを解消するために、医学部入学定員で「地域枠」としての増員が行われています。「地域枠」での募集は、僻地の医師を確保するだけでなく、診療科偏在の解消も目的の1つとしています。
「地域枠」を受験する人は、「診療科偏在」のことも調べておいた方が良いと思います。また、自分が受験する医学部のある県や町の医療についても分かる範囲で調査しておいてください。
「診療科の偏在」としては、産婦人科・小児科・内科・麻酔科などで医師の数が減少しており、特に産婦人科は現象が著しいようです。
例えば、産婦人科の人口10万人あたりの医師の数は、埼玉県で最少でした。そして、産婦人科医に関しては、昔は男性の医師の数が圧倒的に多かったですが、現在は産婦人科医に占める女性の割合は、20歳代で約70%、30歳代で約60%となっています。
社会問題となっている少子化対策として、政府は若い人達に結婚をして子供を産むことを推進していますが、女性の社会進出や安定した収入、晩婚化などのいくつか問題の解決が必要です。加えて、子供を産みたいけれど、産婦人科や小児科が不足している状況だと、誰もが安心して子供を産むことができません。
ここ最近、女性の医師国家試験合格者割合は、30%を超えるようになりました。医師不足に関して女性の場合には、結婚・出産・育児など医療を離れることも多く、その後、医師に復帰できないケースも多いようです。これは社会的損失なので、国を中心に様々な対応策が検討されています。
そしていくつかの医学部の入学試験において、女子が面接試験を受けるときに、「一生、医師を続けられるか?」や「医師と家庭の両立を可能にするための良案は?」などが質問されています。このあたりも、女子の場合にはあらかじめ考えをまとめておいた方が良いと思います。
産婦人科に関しては、メディカルラボ通信(2015年Vol.1)の中でも取り上げましたのでご覧ください。