医学部を卒業して、医師国家試験に合格すると、自分が専門とする診療科を決めることになります。各診療科にはどのような特色があり、どんなタイプの人が向いているのでしょうか。この連載では、診療科別に基礎知識として知っておきたいことをガイダンスします。
医学部入試の面接試験で、「将来は何科の医師になりたいですか?」と質問される大学もあります。
『内科医』編(その2)では、医療機器が格段に進歩したことによって、「冠動脈カテーテル治療」などに携わる可能性もあり、手先の器用さや集中力も重要な資質となることをお伝えしました。
認定内科医、総合内科専門医の認定制度
『内科医』編(その1)でお伝えしたように、医学部の内科学講座が細かな部門に分かれていることもあって、近年の内科は専門分化が進行しています。開業医の中にも、「内科」ではなく、「消化器内科」「循環器内科」「腎臓内科」といったように、自分の専門を明記して、それ以外は担当しない傾向が強まっているようです。
また、日本臨床腫瘍学会では「がん薬物療法専門医」の認定制度を設けており、抗ガン剤の専門家として活躍する内科医もいます。一方、プライマリーケアの担い手としての『総合診療医』もいます。
もちろん、どちらがいいというものではありません。オールラウンダーとしても、スペシャリストとしても活躍できる幅の広さが、内科医の魅力ともいえます。
ただし、前述したように、体調が悪いときに相談できるオールラウンダー的な内科医へのニーズが高いことも事実です。内科医の開業率が54.1%と、全診療科の中で最も高いのも、身近な「街のお医者さん」としてのニーズが高いことを物語っています。また、近年、「かかりつけ医」を持つことが推奨されていますが、多くの人の「かかりつけ医」は内科医になっています。
そこで、社団法人日本内科学会では、病気をオールマイティーに診断し、適切な対応ができる、「かかりつけ医」として活躍できる内科医を、「認定内科医」「総合内科専門医」として認定する制度を実施しています。
その資格試験では、「認定内科医」は「信頼される内科標榜医に要求される内科全般の医学知識と臨床能力を評価する」、「総合内科専門医」は「認定内科医の水準を超えて、広く研修医・レジデントや、他診療科医からのコンサルテーションにも応じて、適切な指導や内科診療を指示できる臨床能力を評価する」と規定されています。
また、「総合内科専門医」に求められる資質・適性として、下記①~④の4項目が掲げられています。これらの項目に則した能力を高めて幅広く活躍することが、内科医に求められるといえるでしょう。
「総合内科専門医」に求められる資質・適性
①患者の身になって対応できる豊かな人間性
②患者の問題解決に貢献する能力
③世界基準にかなう医学知識と技術
④独創的な研究能力を備える
※この記事は「メディカルラボ通信 2014年.vol.1[診療科の基礎知識]」を編集したものです。
次回は『外科医』を取り上げます。