医学部を卒業して、医師国家試験に合格すると、自分が専門とする診療科を決めることになります。各診療科にはどのような特色があり、どんなタイプの人が向いているのでしょうか。
医学部入試の面接試験で、「将来は何科の医師になりたいですか?」と質問される大学もあります。
この連載では、診療科別に基礎知識として知っておきたいことをお伝えします。
今回は、『皮膚科医』編(その3)を取り上げます。
重症患者にも対応する医学部皮膚科
具体的に各大学でどのような教育が行われているのか、いくつか例を紹介しましょう。
帝京大学医学部皮膚科学講座では、皮膚外科外来、レーザー外来、乾癬外来の3つの専門外来を開設しています。アトピー性皮膚炎をはじめとする湿疹・皮膚炎や感染症、膠原病、良性・悪性腫瘍、乾癬、水疱瘡疾患など、幅広く対応しています。
とくに太田母斑(青アザ)などの色素性病変に対するレーザー治療分野では、日本のパイオニア的存在で、年間200~300の治療実績を誇っています。抗真菌剤(水虫薬)の臨床開発試験においても主導的役割を担っています。
杏林大学医学部皮膚科学教室では、湿疹、皮膚炎、白癬、薄毛、にきびなどの一般的な疾患を対象とする一般外来のほかに、毛髪外来、アレルギー外来、レーザー外来、真菌外来、乾癬・発汗外来、アトピー外来などの特殊外来を開設しています。年間約500名の入院患者を受け入れ、難治性の重症患者や、手術を必要とする患者の治療にも力を入れているところに特色があります。
順天堂大学医学部皮膚科学教室は「難治性皮膚疾患の病態と治療」をテーマに掲げています。円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、乾癬、白斑に対する専門外来を設けています。
藤田保健衛生大学医学部皮膚科学講座は、接触皮膚炎、じん麻疹、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の研究と治療が充実しています。悪性・良性皮膚腫瘍、皮膚損傷、熱傷などの皮膚外科についても、診断から治療、緩和ケアまで、総合的な医療を行っています。
また、アザのレーザー治療、光治療やメイクアップ・スキンケア指導を含めた美容皮膚科治療・研究でも知られています。
※この記事は「メディカルラボ通信 2016年.vol.1[診療科の基礎知識]」を編集したものです。
次回は『皮膚科医』編(その4)をお伝えします。