医学部を卒業して、医師国家試験に合格すると、自分が専門とする診療科を決めることになります。各診療科にはどのような特色があり、どんなタイプの人が向いているのでしょうか。
医学部入試の面接試験で、「将来は何科の医師になりたいですか?」と質問される大学もあります。
この連載では、診療科別に基礎知識として知っておきたいことをお伝えします。
今回は、『皮膚科医』編(その2)を取り上げます。
皮膚に関する総合医
皮膚科医は、文字通り皮膚に関する総合医です。そのため、下記に示した「医学教育モデル・コア・カリキュラム」を見ても分かるように、大学では皮膚に関する多様な疾患について、病態、症状、治療方法を説明できる力を身につけることが到達目標になっています。
もちろん、皮膚疾患の知識だけでなく、内科的知識、外科的技術、病理診断能力も要求されます。
皮膚科が対象とする主な疾患をあげると、代表的なアレルギー疾患として知られるアトピー性皮膚炎は、最近、単なる免疫異常ではなく、皮膚を構成する分子の遺伝子異常が関与していることが明らかになり、今後の研究が期待されています。
膠原病は全身の臓器に発症しますが、皮膚硬化などの症状に関しては皮膚科が中心となって治療に当たっています。
乾癬は、皮膚から少し盛り上がった発疹の上に、銀白色の垢が付着し、ボロボロとはがれ落ちる病気です。慢性になりやすく、なかなか治癒しないため、全世界で数百万人を超える患者がいるといわれています。免疫異常が関係することが証明されており、最近では、生物学的製剤による治療も行われています。
例えば皮膚腫瘍については、悪性黒色腫、有棘細胞ガン、基底細胞ガンなどがあり、高齢化社会に伴って患者数が増加しています。
主な治療法は外科的な切除であり、皮膚外科医へのニーズも高まっています。
「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に掲載されている皮膚系疾患
○湿疹・皮膚炎
○じん麻疹、紅斑症、紅皮症と皮膚掻痒症
○紫斑・血流障害と血管炎
○薬疹・薬物障害
○水疱瘡と膿疱
○乾癬と角化症
○母斑、腫瘍と色素異常
○皮膚感染症
○全身疾患
※この記事は「メディカルラボ通信 2016年.vol.1[診療科の基礎知識]」を編集したものです。
次回は『皮膚科医』編(その3)をお伝えします。