医学部を卒業して、医師国家試験に合格すると、自分が専門とする診療科を決めることになります。各診療科にはどのような特色があり、どんなタイプの人が向いているのでしょうか。
医学部入試の面接試験で、「将来は何科の医師になりたいですか?」と質問される大学もあります。
この連載では、診療科別に基礎知識として知っておきたいことをお伝えします。
今回は、『外科医』編(その1)を取り上げます。
主に手術によって病巣を切除し、病気を治すことをめざす診療科
外科とは、主に手術によって病巣を切除し、病気を治すことをめざす診療科です。内科が臓器・機能別に専門分化しているのに対して、外科は身体の部位別に専門分化されています。
具体的には以下のような分野があります。
●消化器外科/腹部・消化器系を扱う分野。
一般的に、単に外科と呼ぶ場合は、消化器外科のことを指します。ただし、大学病院などの総合病院では、胃・腸などの消化管と、肝臓・胆嚢・膵臓などの外分泌臓器は、それぞれ独立させて専門に扱っているところも少なくありません。
●胸部外科/胸部を中心に扱う分野
心臓や血管などの循環器系を対象とする心臓血管外科と、気管・肺などの呼吸器を中心に胸郭全体を対象とする呼吸器外科に大別されます。
●食道外科
以前は胸部外科が対象としていましたが、消化器との関連が深いことから、近年は消化器外科の一部に分類されるようになっています。耳鼻咽喉科とも連携して治療に当たります。
●大腸肛門外科
消化器外科の一分野ですが、大腸・直腸・肛門を専門に扱う病院も数多く見られます。
●乳腺外科
乳ガンなど、乳房・乳腺の疾患を対象にしています。
●内分泌外科
甲状腺疾患を中心に、内分泌臓器全般の疾患に対応します。
●小児外科
新生児・小児期特有の疾患を扱います。他の外科分野が身体の部位別に分かれているのに対して、小児外科だけは、すべての部位を対象にします。ただし、人工心肺の技術開発が進行していることから、心臓手術に関しては心臓血管外科が担っています。
●整形外科
腰痛、肩こり、骨折、脱臼など、骨、関節、筋肉、脊椎などの疾患や外傷を、手術や運動療法で治療します。
●形成外科
皮膚の損傷を治したり、失われた身体の機能回復などを行う分野です。縫い合わせた皮膚組織が壊死しないようにするとともに、仕上がりの美しさも要求されます。美容外科も形成外科の一種です。
●脳神経外科
大脳、小脳、脊髄などの脳・神経分野を対象にしています。
手術が多いために、ハードな職場環境を乗り切る気力、体力、使命感が求められます。
※この記事は「メディカルラボ通信 2014年.vol.2[診療科の基礎知識]」を編集したものです。
次回、『外科医』編(その2)では「外科の初期臨床研修プログラム」についてお伝えします。