テレビドラマ「Dr.コト―」のモデルになった、瀬戸上(せとうえ)健次郎医師が離島の診療所を、来年3月に退任するニュースが流れました。
離島医療に37年間も従事して地域医療を支えた!
テレビドラマとして2003年に放映された「Dr.コト―診療所」。私も、毎週、楽しみにこのドラマを見ていました。医師不在だった小さな南の島で、離島医療に情熱をかける若き医師の姿を描いています。医療だけでなく島の人たちとの交流にも心動かされました。2006年には続編も放映されました。
このドラマのモデルとなった瀬戸上先生は、鹿児島大学医学部を卒業して県内の病院に勤務後、1978年、36歳のときに下甑(しもこしき)島の診療所に赴任しました。その後、37年に渡り島民の医療を支えてきました。今回、ご自身の74歳という年齢を区切りに島を離れることを決意されたようです。
日本全国をみれば、離島だけでなくて地域医療の厳しい地域が多くあります。ここ最近の医学部定員増は、地域医療を条件としたものがほぼすべてです。
離島が多い都道府県を調べてみました。(「外周100m以上」海上保安庁のデータより)
1.長崎県:971島
2.鹿児島県:605島
3.北海道:508島
4.島根県:369島
5.沖縄県:363島
そして、第6位はなんと、東京都の330島でした。外周100mなのでとても小さな島もありますが、日本の離島の多さに驚きます。私も昔、長崎県の離島めぐりをしたことがあります。お預かりしている浪人生の出身高校へ成績や日々の報告に行くために、宇久島や小値賀島、奈留島など普段は耳にしない島を訪問しましたが、そこには高校があり、島民の日々の生活を見たときに感動したことを覚えています。
地域枠入試と面接試験
毎年、定員枠が増加している医学部の地域枠入試。その面接試験では、「地域医療」に関することが質問されます。地元出身ならともかく、例えば、北海道出身の生徒が九州の医学部を受験する場合などは、面接官を十分に納得させるだけの返答ができなければなりません。地域医療のことだけでなく、なぜその大学を受験したかの理由や、その県のことも知らなければなりません。地域枠の条件となっている卒業後の義務を終えた後のことを質問する大学もあります。「地元に帰りますか?」「実家の病院を継ぎますか?」などと・・・。
2015年度は、「Dr.コト―」こと、瀬戸上先生のことを質問する大学もあるかもしれません。
ドラマの中のセリフで、テーマのひとつになっている「病気を見ずに、人を見ろ!人が人を治すんだ。」という言葉。私が面接官だったら、このセリフの意味を受験生へ質問します。あるいは、小論文試験で尋ねてみます。
みなさんは、どのように考えますか?