2021年度入試は全て終了しました。コロナ禍での受験を迎えたことと、大学入試改革初年度という2つの大きなことが受験生を直撃しました。
今回は国公立大学の動向について、既に確定をしている志願者数から考えてみます。
国公立大学の医学部人気の復活!
前回のblogでもお伝えした通り、医学部人気が復活しました。(前回のblog記事は、ココをクリック)
河合塾が実施した自己採点会の集計結果を見ると、少子化の中で国公立大学前期の医学部は前年比113%となりました。(2021年1月時点の集計結果)
この数値は、あくまでも出願を検討している受験生の動向です。実際には、自己採点後に返却される個票を参考にして、受験生はどこかの大学の前期1校、後期1校に出願をします。
その集計結果が次の表です。
ここ数年、国公立大学の医学部志願者は減少し続けていました。2021年度は、一転して僅かながら増加に転じました。
今年の共通テストの出願は、前年よりも約2.2万人も減少しています。そのことを考えると、国公立大学の医学部人気は復活したといえるでしょう。
ここ最近の日本経済の状況を考えると、来年以降も医学部人気は続くと思います。
地区別の動向の特徴
全体の医学部志願者数は、前年を上回りました。地区ごとに見ると以下のようになりました。
前年比を下回ったのは、北海道、東北、北陸、九州でした。関東や近畿、東海など大都市圏の受験生が、コロナ禍、地元から遠い地区の大学の受験を敬遠したのではないかと思います。最も増加が大きかった四国ですが、今年度から香川大学と愛媛大学が後期日程を廃止したことで、前期定員が両大学で35名も増えたことが影響して、志願者数増につながったと思います。
最難関の旧帝大の同行
旧帝大の大学には、全国から受験生が集まります。そのために、トップレベルの受験生が、合格をめざして競うことになります。
旧帝大などトップレベルの大学は、これまでもセンター試験の平均点にかかわらず、志願者数の大きな変動はありません。理由の一つは、第一段階選抜基準が他の大学よりも厳しく設定されているからです。例えば、九州大学の基準は「2.5倍」ですが、これは前期定員110名に対して、2.5倍の出願者、つまり110×2.5=275人までが前期試験を受験可能ということです。
前年比±30%の大学
国公立大学の医学部全体でみると前年比101%ですが、個別の大学に着目をすると増減が大きな大学があります。次の表は、志願者数が前年比±30%の大学をまとめています。
これらの大学には、多くの場合に何らかの理由があります。
例えば、志願者数が隔年ごとに増減を繰り返す国公立大学特有の減少がありますが、一般的に「隔年現象」といいます。
上の表では、秋田大学、福島県立医科大学、和歌山県立大学、徳島大学、長崎大学、宮崎大学などがそれに当たります。
香川大学や愛媛大学は、後期日程廃止に伴い、前期日程の定員はそれぞれ20名、15名も増加したことが原因で志願者数が増加しています。
逆に大分大学は、前期日程の定員が10名減少して55名なったことで受験生が敬遠しました。
熊本大学のように、過去2ヶ年、非常に多くの志願者数を集めたことで、今年度は受験生が敬遠したことにより、志願者数が大きく減少をしました。
国公立大学の後期日程
2021年度に後期日程を実施した大学は、全50大学中で18大学しかありません。旧帝大などの難関大学を含む多くの大学は、後期日程を行っていません。
しかしながら後期日程はとても難しく、合格をするための共通テストの得点率は、最低85%以上でなければ難しいでしょう
2021年度は、前年比96%となり志願者数は減少しました。上記でもお伝えした通り、香川大学と愛媛大学で後期日程を廃止したために、中国・四国地方を中心に出願者が減少したことによると思います。
簡単に志願者数からみる2021年度の国公立大学の動向をお伝えしました。
前回のblogでもお話しした通り、2022年度以降、ますます医学部人気は上がると思います。