私立大学医学部は全部で31大学あります。そのうちで後期日程を実施するのは10大学あります。私立大学は、国立大学とは違い複数校併願が可能です。また、試験日の設定も各大学の判断で決めることができます。
以下、私立大学入試で最も定員の多い前期日程について、志願者数から2019年度の動向を振り返ります。
私立大学医学部[前期日程]の志願者数動向
2018年度から志願者が減少に転じました。国公立大学と同様に18歳人口減少の影響もありますが、2019年度は対前年比90%、実人数で8,276名減の大きなマイナスとなりました。一番の原因は、センター試験の実施日が昨年よりも6日も後ろに移動したためです。私立大学はセンター試験後に1次試験を開始し、2月の上旬までに実施する大学が多いために、1次試験の重複が多く発生しました。そのため、受験生にとっては併願可能な大学が少なくなりました。
(表6)は重複度合いを示した表です。例えば、2019年度の「4校重複」が「4日」となっていますが、例えば1/27(日)に埼玉医科大学、北里大学、近畿大学、川崎医科大学の4大学の1次試験が重複しており、1/28(月)、1/29(火)、2/1(金)も同様に別の4大学の重複があり、そのような日が合計4日あることを示しています。つまり4日間で16大学が試験を行いますが、2018年度は4校が重複することはありませんでした。
(表5)私立大学医学部 前期日程ののべ志願者数
※順天堂大は、6/6時点で未公表のために、2019年度の算出の際には、2019年度と2018年度から除く。
(表6)私立大学医学部の前期日程1次試験の重複日数
※1次試験を複数日、複数日程設けている大学は、それぞれ計上。
志願者数の減少が大きかった大学[前期日程]
志願者数の減少割合が大きかったベスト3は次の通りです。
1.東京医科大学:33%(-1,969人)
2.聖マリアンナ医科大学:55%(-1,525名)
3.北里大学:72%(-742人)
減少割合の大きかった3大学は、文科省から2018年度の女子受験者に対して不適切入試があったと指摘された大学でした。東京医科大学は、一般入試の定員を75名から34名(最終的には38名)に大幅減員したことも影響をしています。また、3大学ともに1次試験日の重複が増えており、昨年と今年を比較すると東京医科大学は2→3大学、聖マリアンナ医科大学は、単独実施→4大学、北里大学は2→4大学となり、重複大学が増えたことも、志願者数の減少に大きく影響を与えました。
志願者数の増加が大きかった大学[前期日程]
志願者数の増加の割合が大きかったベスト3は次の通りです。
1.東京女子医科大学、愛知医科大学:121%(+284人、+406人)
2.獨協医科大学、大阪医科大学:118%(+337人、+294人)
3.国際医療福祉大学:117%(+419人)
東京女子医科大学は、昨年は1次試験が同じ関東の帝京大学と重複していましたが、2019年度は単独実施になったことが志願者増加の主な原因です。獨協医科大学も大阪医科大学も2019年度の1次試験が単独実施になったことで志願者増となりました。国際医療福祉大学は、私立大医学部で学費が一番安いことや、2019年度から一般入試の2次試験会場を東京都内に新設し、また、一般入試の成績上位者40名(昨年は30名)を特待奨学生として選抜することで志願者が増加しました。