2019年度医学部入試を振り返ってみましょう。2020年度の医学部入試に向けて参考になることがあるかもしれません。
今回は国公立大学医学部の中で志願者の変動が大きかった大学についてお伝えします。
志願者の減少が大きかった大学
志願者数の減少割合が大きかったベスト3は次の通りです。
1.名古屋市立大学:31%(-413名)
2.秋田大学:50%(-200名)
3.山口大学:57%(-145名)
名古屋市立大学の志願者数の減少は、2019年度から2段階選抜基準を導入したことによるものが第1の原因ですが、予想以上に大きく減少しました。秋田大学の志願者数の3年間推移は、281名→400名→200名で、典型的な隔年現象となっています。山口大学は、前期定員が60名です。隣県の広島大学が前期定員を15名増やしたことで合計90名となりました。このことで、広島大学へ志願者が流れたのでしよう。
今後、徐々に18歳人口が減少していきますが、現在の高2生からは大学入学共通テストが開始されることから、2020年度入試は、高3生、高卒生を中心にこの大学入学共通テストの受験を回避するために、安全志向に向かう受験生が出てくるでしょう。
志願者の増加が大きかった大学
逆に、志願者数の増加の割合が大きかったベスト3は次の通りです。
1.和歌山県立医科大学:172%(+162名)
2.熊本大学:166%(+210名)
3.福島県立医科大学、浜松医科大学:146%(+143名、+114名)
和歌山県立医科大学は、隔年現象により志願者数が増加。熊本大学は、2018年度に事前の予想とは逆に志願者数が大幅に減少したことで、2019年度は反動で大幅に志願者数増となりました。福島県立医科大学は典型的な隔年現象です。浜松医科大学は、前年度に2段階選抜を導入したことで志願者数が大幅に減少となり、また今年度は前年度の反動も影響して志願者数が大幅に増加へと転じました。
九州大学は、センター試験の理科で前年度まで「生物」が必須で、2次試験で「物理・化学」が必須でしたが、2019年度からセンター試験の「生物」が必須ではなくなり、「物理・化学」で受験可能となったことと、唯一、面接試験を課さないためにボーダーラインはアップしました。なお、2020年度入試より、九州大学で面接試験が加わり、全ての医学部で面接試験が実施されることになります。
このことから予想できること
大きな入試の変更があった場合や難関大学を除いては、国公立大学の志願者数は、前年度の反動が起きたり、1年ごとに増減を繰り返す隔年現象が起こります。2020年度入試は、2019年度とは、逆の動きをする可能性があるということです。ただし、志願者が増減しても、成績上位者層が変化しない限り、難度も変化しません。
次回は、私立大学医学部の大学別動向をお伝えする予定です。