2019年度医学部入試を振り返ってみましょう。2020年度の医学部入試に向けて参考になることがあるかもしれません。
まずは国公立大医学部からお伝えします。
文系・理系を全て合わせた全体の志願者動向
文系・理系を合わせた大学志願者の全体動向を見る上で、大学入試センター試験の志願者数の推移はとても参考になります。少子化にともなう18歳人口の減少によって、センター試験の現役生志願者数は、実人数で8,620名の減少、しかし現役生以外(主に浪人生)は2,779名の増加となりました。志願者の減少は18歳人口の減少に連動しています。
今後、徐々に18歳人口が減少していきますが、現在の高2生からは大学入学共通テストが開始されることから、2020年度入試は、高3生、高卒生を中心にこの大学入学共通テストの受験を回避するために、安全志向に向かう受験生が出てくるでしょう。
国公立大学医学部 前期日程
国公立大学医学部は全部で50大学あります。そのうちで後期日程を実施するのは23大学あります。定員や入試科目などを考えると、ほとんどの受験生は、ほぼ前期日程に照準を絞って受験対策を行います。以下、前期日程について志願者数から2019年度の動向を振り返ります。
2015年度以降、過去5年間連続して国公立大学医学部の志願者は減少しています。2019年度は前年比96%、実人数で674名減少しました。前期試験を実施する大学は49大学ありますから、1大学あたり約14人の減少となります。また、志願者倍率は(前期総志願者/前期総定員)は、2019年度は4.5倍、2018年度は4.6倍だったので、ほんの少しだけ広き門となりました。ただし、志願者倍率は、他学部と比較すると明らかに高いです。
(国公立大学医学部前期日程志願者数)
志願者減少の理由は、18歳人口の減少による自然減と就職内定率が高いために、浪人(多浪)をしてまでも最難関学部である医学部をめざそうとする受験生が減ったからではないでしょうか。
ただし志願者数が減少しても、合否に関係する成績上位者層が減少しなければ、どの大学も入試難度は下がりません。2019年度の医学部入試についても、成績上位者層の減少は少なかったようで、難度も2018年度と大きくは変わらないようです。ただし、センター試験の全受験者の理系平均得点(5教科7科目、900点満点)は、12点(1.3%)ほどアップしたため、それに伴って難化した大学もあります。
これまで通り国公立大学医学部に合格するためには、前期日程の場合、センター試験の得点率が85%以上必要であることは変わりません。
(ベネッセコーポレーション/データネット資料より)
2019年度センター試験の科目別平均点を見ると、国語の平均点が16.87点アップしました。過去2年間は平均点が低く、国語が苦手な医学部志望者の中には志望校の変更を余儀なくされた人もいました。理科については2科目選択となりますが、ほぼ全ての受験生が化学を選択します。もう1科目は、物理か生物の選択になります。今回は物理の平均点が下がったために生物との差が約6点になり、生物選択者が有利となりました。
(センター試験科目別平均点/大学入試センターWEBサイトより)
次回は、国公立大学医学部の大学別動向をお伝えする予定です。