藤田医科大学は2026年度以降に入学する学生を対象に、医学部の学費を大幅に引き下げることを発表しました。これまでにも学費を下げることにより、全国から優秀な受験生を集め、大学の学力の底上げに貢献した大学がありました。
藤田医科大学が医学部の学費を大幅引き下げ
藤田医科大学の6年間の学費は、2025年度現在で総額2980万円ですが、2026年度の入学生からは、約30%を引き下げられて2152万円となります。この金額は、私立大学医学部の中で4番目に安い学費となります。岩田仲生学長は「学費を値下げすることで、これまで以上に優秀な学生が進学しやすい環境を整え、将来の研究大学の礎となる人材の育成に注力していきたい」と述べています。
学費の引き下げは、2017年度にも実施されており、それまで3620万円だった学費を、2017年度からは現行の2980万円に変更。翌年10月には、藤田保健衛生大学から藤田医科大学への名称変更を行うなど、積極的に大学改革を行ってきました。
学費引き下げによる難易度の相関性
学費の大幅引き下げで思い出すのは、2008年度に約900万円の引き下げをした順天堂大学 医学部です。これ以降、2017年度に医学部が新設された国際医療福祉大学が登場するまで、順天堂大学の学費は私立大学医学部の中で一番安く、全国から志願者を集める人気大学になりました。下記の【表1】 私立大学「医学部 2025年度 学納金(6年間総額)と【表2】 私立大学医学部 2025年度 予想難易度(ボーダーライン偏差値)の表を比較すると、私立大学は、概ね学費と難易度に相関性があることが分かります。他にも2023年度に学費の引き下げで志願者数を大幅に伸ばし、難化した関西医科大学 医学部が挙げられます。
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藤田医科大学の場合
2026年度からの学費引き下げで、志願者数がこれまで以上に増加すると予想されます。一般選抜は、前期日程の試験会場が名古屋の他に東京や大阪にも設けられており、後期日程は名古屋、東京で実施されていることも、志願者数増加に貢献するでしょう。
ひとつ注意しなければならないことは、今回の学費の引き下げは、大学のWEBサイトで発表されている通り(5.29プレスリリース)「学費を値下げすることで、これまで以上に優秀な学生が進学しやすい環境を整え、将来の研究大学の礎となる人材の育成に注力していきたい」ということです。また、「全国トップクラスの研究力を支える、より優秀な人材の確保へ」とも記載されています。
私立大学は、開業医など高収入家庭のご子息が入学する比率が高く、医院継承と深くかかわってきました。つまり、将来ご両親が開業している病院やクリニックを継承して、開業医、かかりつけ医として、地元に貢献できる臨床医の育成を主眼にした大学も多かったと思います。
ここ数年、私自身が全国各地の高校で講演をする中で、研究医をめざす高校生が増えていることを実感しています。
藤田医科大学については、大学側がなぜ学費引き下げを行うかの意味も考えて、「志望理由」を考える必要があるかもしれません。
詳しくは、大学のホームページや募集要項でご確認ください。