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1浪の末に一般合格 九州大学医学部4年生 T.Sさん
どうして、自分は医学部を目指すのか。受験生活の不安とどのように向き合うのか。見事、合格を勝ち取った現役医大生に、医学部への思いや不安との向き合い方を聞き、合格までの軌跡を辿る連載シリーズ「合格ストーリー」。今回お話を伺ったのは、1年に浪人生活を経て、九州大学(以下「九大」)の医学部に合格されたT.Sさん。現役の時とセンター試験の点数が変わらなかったというTさんが浪人で合格できた秘訣は「教科書の活用」だったそう。教科書を使って穴をなくしてきたTさんの、確実性を高める勉強法についてお聞きしてきました!
医師を目指したきっかけを教えてください。
幼少期に漫画「ブラックジャック」を読んで漠然とした憧れを抱いたのを覚えています。また、中学生の時に親と将来について話した時に、「医者は安定するし、収入もいい」と教えてもらいました。ちょうど就職活動に関するニュースをメディアで見たタイミングで、「サラリーマンは大変そうだな」と感じていたこともあって、高校1年生の志望校調査ではすでに九大医学部と書いていた気がします。
高校1年生の時に本格的に医学部受験の勉強を始めたんですか?
そうですね。予備校にも行き始めました。その頃から週4〜6で行っていました。高校3年生の始めに一瞬物理の道を志したことがあったんですけど…。これも親に棄却されました(笑)。物理がずっと得意で、好きだったんです。だから、受験勉強自体はずっとしていましたね。
Tさんの高校はどのような学校だったんですか?
福岡県の私立の進学校に通っていました。普通科と特進コース、スーパー進学コース、中高一貫コースがあって、僕は特進コースだったんです。周りには九大志望が多く、早いうちから受験勉強をする人が多くいました。スーパー進学と中高一貫コースの2つには、医学部や東大京大を受ける上位層が所属していたんですが、僕はそのクラスの人たちと接する機会があまりなかったので、のびのびと医学部を目指すことができました(笑)。
高校1年生からの受験勉強で、最初は英単語にずっと取り組んでいたんです。同時に予備校で文法を勉強していたこともあって、一度学校のテストで英語が学年2位になったことがありました。その時に「医学部行けるじゃん」と思ってしまい(笑)。福岡県は公立に頭がいい学校が多いんですけど、もし僕が公立に進んでいたら日頃から上位層と接する機会があって、比べてしまって萎縮して医学部を目指していなかったと思います。そう考えると、ちょうどいい環境でしたね。
進学校で2位はすごい...!部活には所属していましたか?
入っていませんでした。最初はテニス部に入ろうと思っていたんですが、テニスコートがかなり遠い位置にあり「続かないだろうな」と思い、勉強中心の高校生活を送っていました。その代わりに予備校の授業がない月曜日にドラムレッスンに通っていました。受験期もストレス発散にたまに叩いていましたね。
そうだったんですね。予備校はどこに通っていたんですか?
東進の衛星予備校です。衛星、つまりオンライン授業だったので、気分が乗らない時は予備校に行かず家で授業を受けるなどして、自分のペースで続けていました。毎日学校が終わって17時から21時くらいまで勉強していましたよ。
現役の受験はいかがでしたか?
学力が全然追いついていなかったというわけではなかったんですが、ダメでした。前期の九大医学部の試験は合格点に40点足りず、悔しい思いをしましたね。先ほど話した物理への興味を捨てきれず、後期は九大の理学部を受けました。結果は不合格だったんですけどね(笑)
合格できなかった要因は何でしたか?
特に数学ですが、計算力がまだまだだったんだと思います。ケアレスミスも多く、問題は理解できていたのですが、得点に繋がる解答ができていなかった。穴がまだまだたくさんありました。
浪人も予備校は変えず、東進衛星予備校に通われたんですか?
東進は継続して、英進館という集団授業の予備校にも通い始めました。九州では、東進は英進館の校舎の中にありました。高校時代から馴染みがあって、高校3年生の時も何度か英進館の模試や講座を受けていたので、浪人で心機一転新しい予備校に通い始めたという感覚はなかったです。
苦手の数学はどのように勉強を進めましたか?
教科書を中心にとにかく多くの問題を解きました。九大医学部の数学の試験問題は、オーソドックスな問題が中心なんです。あまりトリッキーな応用問題は出ないので、教科書で十分でした。最終的に、二次試験で8割5分近く取れるほど学力は伸びましたよ。
それ以外の科目はどのような勉強をしましたか?
数学ほど苦手ではなかったんですが、国語の現代文と英語の英作文はまだまだ伸びる余地があると思っていました。この2つの勉強のメインは、教科書と予備校の授業ですかね。現役の時は参加しなかった特別講座を取って注力しました。東進の授業は動画で視聴できたので、わからない箇所がなくなるまで何回も授業動画を見返していました。
お話を聞く限り、浪人は「穴をなくす」勉強とされていたようですね。
現役の反省を活かした結果こういった勉強を1年間意識していました。何かの科目を派手に伸ばすというよりは、確実性を高める勉強をしていたと思います。数学以外、全体的な学力は足りていたので、穴をなくすことでどんな問題が出ても対応できるようにしました。
それ以外の科目はどのように学力をキープしていたんですか?
他の科目も教科書です。特に生物と物理は何回も読み返しました。記憶が抜けないよう、時間を確保して継続的に目を通すようにしていました。読む以外では、たまに教科書についている練習問題を解いたりしていましたね。参考書は使わなかった気がします。
1年間の努力の末に合格されたと思うんですが、センター試験と2次試験はそれぞれいかがでしたか?
センター試験は、文系科目が崩れてしまい、現役時より悪かったんですが、理系科目を9割近く取ってリカバリーし、現役時の合計点とほとんど変わらない結果でした。浪人の1年で数学を完全に克服し、理系で点数を稼げるようになっていたんですね。二次試験もそのまま突破し、合格者113人中50番台で、比較的余裕を持って合格できました。
現役と浪人で一番変わったのは何ですか?
やっぱり穴をなくせたことですかね。よっぽどの応用じゃない限り、どんな問題でも解けるようになりました。浪人の1年で時間をかけて多くの問題を解いた結果、知識や解法をたくさん身に付け、対応できる問題の数が増えました。そのおかげで、問題を俯瞰して見ることができるようになり、余裕を持って解き始められるようになった気がします。準備にかけた時間が一番の違いだったと今では思いますね。
周囲のサポートはいかがでしたか?
親には感謝しています。特に毎朝弁当を持たせてくれた母親には頭が上がりません。僕が理学部に行こうとした時も止めてくれましたし(笑)。僕が医者への道に進めたのは母の支えがあったおかげです。あとは予備校の友人には助けられました。苦楽を共にした仲間、という感覚があります。しんどい時は、友人との昼ごはんでの何気ない会話が救いになりました。
最後に受験生に向けてメッセージをお願いします。
曖昧な点を全て潰して、確実性を高める勉強をしてください。もちろんトップ校だと応用の対策も必要だとは思いますが、それでも基礎が大事だと思います。自分の穴を見つけ、一つひとつを潰して、盤石の体制で受験に臨んでほしいと思います!