MMI / 面接試験の形式 / 面接対策のポイント / 苦手意識 / 見落としがちな点 / 面接の失敗事例 |
人物評価を重視する大学が増え、筑波大学をはじめ面接試験の配点を高くする大学も出てきています。面接の内容も年々変化しており、「志望動機」「目指す医師像」といったよくある質疑応答だけでなく、さまざまな手法、テーマで受験生の人間性を評価する試験もあります。どのような面接試験があるのか、そして対策はいつ、どのように行えばいいのか。2次試験突破の確率を大きく左右する面接対策のポイントをご紹介します!
面接試験の意味と4つの形式
面接試験の目的は大学によってさまざまですが、共通しているのは「医師としての適正」を判断することにあります。入学後も勉強を続け、確固たる思いを持って医師を目指していけるかどうか。また、医師を目指すうえでの倫理観、考え方も問われます。
面接試験には大きく分けて4つの形式があることも知っておきましょう。
1.個人面接
受験生1人と面接官1人あるいは面接官が複数人で行う、最もベーシックな形式です。面接官によって質問する内容が割り当てられているケースが多いです。
2.集団面接
受験生5人と面接官5人といったように、複数人対複数人で面接を行う形式です。他の人の内容を受けて話すため、流されないように自分の意見をしっかりと話せるようにしておくことが求められます。また、他の人が話しているときの態度、聞く姿勢も見られます。
3.集団討論
特定のテーマについて、集団でディベートを行うスタイルです。面接官も複数いる場合が多く、発言内容はもちろん、討論にどのような姿勢で参加しているか、協調性はどうか、といった部分も評価されます。
4.MMI(Multiple Mini-Interview)
1人の受験生が複数の面接室を移動しながら、それぞれの部屋にいる面接官とさまざまなテーマで質疑応答を行う形式です。慈恵医科大学や千葉大学が近年新たに取り入れ、より多角的な視点かつ面接官による偏りのない公正な人物評価を行う目的があるとされています。
新たな形式MMIに要注目
MMIは2017年に慈恵医科大学が導入を開始するなど、近年実施大学が増えています。複数の面接室に1人ずついる面接官を、受験生がひと部屋ずつ回り、面接官ごとに違う質問に答えていくものです。各面接官は同じ質問を受験生に投げかけることになっています。聞かれる内容としては、「志望動機」といったベーシックなものから「試験に向かう途中に、具合の悪い老人がいた場合はどうするか」といった事前準備ができない質問をされることもあります。さまざまな質問に答えさせることで多角的な観点からの人物評価を行うこと、面接官ごとの評価軸のズレをなくす公平性を確保することなどを目的としています。今後も導入大学が増えていくことが予想されるので、志望大学の面接形式に変更はないか、よく調べておくようにしましょう。
実戦形式の演習に勝るものはなし!
面接対策のポイントはズバリ「実践形式の演習」につきます。一度でも本番と同じ状況で演習をしているかどうか、で本番時の落ち着き具合や受け答えのスムーズさに差が出てきます。意外にも、演習をしないでぶっつけ本番で面接に臨む受験生も多く、そういった人たちの中には、頭が真っ白になりしどろもどろな受け答えになってしまう、というケースも少なくありません。
春から夏にかけて、できるだけ早いタイミングで演習をしておくと、医師になる気持ちを見直すきっかけにもなり、その後の勉強の質も上がります。遅くとも秋までには演習を経験しておきましょう。直前期はどうしても学科試験に意識がいってしまうので、面接対策を行う時間を取れなくなってしまいぶっつけ本番に、なんてことにもなりかねません。
大学ごとに重視するポイントも違う
例えば、名古屋市立大学は気遣いができるかといった人間性、名古屋大学は研究医も多く育てているため論理性を重視しているなど、大学によって大切にするポイントは違っています。できるだけ、志望大学のオープンキャンパスには参加をして、その大学の特徴や校風、どのような医師を育てようとしているかなどのポイントを聞くようにしましょう。
話すのが苦手…という人はどうすればいい?
人前で話すことに苦手意識がある人もいると思います。そういう人は上手に話せるかどうかよりも、しっかりと自分の考えを持てているか、ということに注意を払ってみてください。考えが持てていれば、多少話し方が下手でも、しっかりと思いや意見は相手に伝わります。また、普段から家族や先生に自分の考えを話す機会を作るように意識しておくと、よりうまく話せるようになるでしょう。
台本丸暗記の受け答えはマイナスイメージ!
よくある面接の失敗事例が、丸暗記した内容をそのまま話していると面接官に受けとられることです。不安のあまり、事前に一字一句答えを丸暗記して、思い出しながら話をしていると、面接官にもその様子が伝わります。すると、「自分の言葉で話していないな」とマイナスなイメージを与えかねません。また、丸暗記した言葉を忘れてしまうと、頭が真っ白になってその後の言葉が出てこない…なんてことも起こりえます。
まずは、しっかりと自分の意見を整理し、「こういう順番で、この考え、思いはしっかり伝える」と最低限のポイントを押さえておくようにしましょう。面接ごとで多少話し方、言葉が変わっても、伝えたい内容が変わっていなければ全く問題ありません。
それから見落としがちなのが、目を見て話しているかどうか。伏し目がちに話をしていると、自信がない印象を与えるので、しっかりと面接官の目を見て話すことを意識しましょう。
最後のひと押しは面接!
医学部受験では、学力が拮抗した受験生同士の競争となるため、学科試験での1点2点の差で、合否が分かれることもあります。そうした横並びのときに、面接試験での結果が加味され、合格となる可能性も大いにあります。学科試験が同じ点数の2人のうち、どちらか1人だけしか合格できない、となった場合、面接での評価によってどちらを合格させるかを決定することもあるのです。最後のひと押しに面接試験がものを言うので、最後まで諦めず、抜かりのない対策を取るようにしましょう。