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国公立大学をめざす場合に考えておくこと

     4月より新学期が始まり、高3生は受験生と呼ばれるようになりました。入試までの残り時間は、すでに1年を切っています。推薦入試等を考えている場合には、10月からは出願が始まる大学が多いことを考えれば、もう時間的な余裕はありません。
 今回は、国公立大学の医学部合格をめざしている受験生に向けての内容となります。



国公立大学は、多くの受験生にとって前期日程1本勝負

  現在、医学部を設置している国公立大学は、全国に50大学あります。山梨大学を除いて、49大学は全て前期試験を実施します。また、後期試験は、2025年度までは16大学で実施していましたが、2026年度からは旭川医科大学と山形大学、佐賀大学の3大学で廃止されます。後期日程の定員は、前期日程よりも圧倒的に少ない大学が多いです。つまり、後期日程は非常に狭き門となります。
 下記の表は、河合塾が公表している2025年1月現在の国公立大学のボーダーラインです。この表の右側を見ると、後期日程のボーダーラインの中で、地域枠募集を除いてどこかの医学部に行きたい場合、共通テスト得点率は「87%」以上となります。この表の左側には前期日程の大学が記載されていますが、「87%」以上の大学を見ると、そこには旧帝大を始めとする難関大学医学部となります。つまり、後期日程を出願するためには、前期日程でこれらの大学に出願できるだけの成績が必要だと考えてもよいでしょう。


                       (河合塾kei-netより抜粋 2025年度1月現在)

 そして、共通テストの配点と2次試験の配点割合は、後期試験の場合、一部の大学を除いて圧倒的に共通テストの方が高くなっています。例えば、山形大学の配点は、共通テスト:2次試験=950100で、2次試験は「面接試験」のみとなります。共通テストの得点が合否に大きく影響をすることから、山形大学の共通テストのボーダーライン得点率は「90%」と非常に高くなっています。千葉大学の場合には、表の「2次」の欄に「72.5」と記載されていますが、これは2次試験で英語・数学・理科の学科試験が実施されるために、2次試験のボーダーライン偏差値が設定されます。
 まとめると、後期日程の合格が難しいのは、以下のような理由になります。
  ①後期日程を実施する大学は少なく、同時にその定員は少ない
  ②2次試験は、共通テストの配点が高く、学科試験を行わない大学が過半数

 

総合型・学校推薦型選抜を受験してチャンスを増やす

 国公立大学は実際問題として、多くの受験生にとって一般選抜前期日程の1回だけしか受験できません。そこで、チャンスを増やす場合には、総合型・学校推薦型選抜(以下、推薦入試)の受験を考えるということです。以前は、成績が良ければ、一般選抜で合格をめざす人もいましたが、コロナ禍以降は成績状況にかかわらず、推薦入試を受験する人が増えました。
 一般選抜と比較をすると、推薦入試に出願するためには様々な条件があり、大学ごとに異なります。
 

 
①について「地域枠」は、地元出身者に限られる場合と、そうでない大学もあります。「現役」のみに出願資格がある場合と、高卒生まで出願資格がある場合があります。現役生の場合、高3生1学期終了時までの評定平均を「4.3以上」にしている場合が多いです。④一部の大学を除いては、共通テストの受験が必須で、個別試験は面接・小論文としています。筑波大学など一部の大学では、共通テストの受験が必要ない場合もあります。推薦入試で合格をしたら、どの大学も特別な場合を除いては辞退をすることができません。
 とにかく大学ごとに条件が異なるために、できる限り早めに志望大学を決めて、推薦入試について調べて、出願をするかしないかを判断しなければなりません。


推薦入試のは入り易いか?

  一般的に難関大学については推薦入試よりも一般選抜の方が難しい場合が多く、これとは反対に、地方大学で「地域枠」の定員が大きい場合には、推薦入試の方が入り易い大学が多いです。2025年度の合否結果を見ると、地方における地域枠の推薦入試の場合、一般選抜前期日程の共通テストのボーダーラインよりも、8%近く低くても合格できている大学あります。
 地域枠は入学後にも様々な制約がありますが、特に多くの大学では卒業後に9年間は働く地域や診療科の制限を受けるため、この点も考えてから出願をしなければなりません。

 

いつから推薦入試の対策を始めるか?

  推薦入試は受験をしたからと言って必ず合格するとは限りません。万が一を考えて、一般選抜前期日程の試験科目・試験日をターゲットにして、日々の勉強を続けることをお薦めします。
 推薦入試は、先でもお伝えした通り、個別試験は面接試験と小論文試験が中心になります。特に面接試験と小論文試験は、大学ごとに特徴があるため高3の夏休み終了頃までには、一通りの対策を終えておいた方が良いでしょう。9月以降は、とにかくやることが多くて時間が直ぐに過ぎていきます。共通テストや前期試験の対策に加えて、模擬試験が頻繁に実施されるために、圧倒的に時間が足りなくなります。