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医学部受験に向けて、科目ごとにどのように勉強をすればいいのでしょうか? この記事では、医学部合格に向けたスケジュールの考え方と、各科目の勉強法の基礎知識をご紹介します。
昔よりも今の入試は受験科目もスケジュールも複雑になってきているので対策を間違えると失敗の原因になってしまいます。
AO入試ではどの学校でも書類審査、面接、小論文が課せられ、さらに国公立大ではほとんどの大学でセンター試験を受験することになり、これらの結果から合格者が決定されます。AO入試の試験日程は、出願は8月頃、試験は9月頃からと実施も早いため、いかに前もって対策をするかで合否が決まります。
公募推薦入試は、国公立大の多くの場合、センター試験の結果と書類審査、小論文や面接で選考されます。私立大の場合は、10~11月頃に出願し、11月頃に面接・小論文・基礎学力試験を実施します。
一般入試では、国公立の場合センター試験があり、その後二次試験(個別学力試験)の前期日程、後期日程と続きます。私立大の中には、センター試験を利用する大学もあり、その場合、センター試験での必要科目が大学によって異なりますので、二次試験や併願校との受験科目の兼ね合いが必要です。
大前提として、医学部は他の学部に比べて飛び抜けて倍率、試験問題のレベルが高く、大学間の偏差値格差が小さいということをお話しておきます。現在、医学部に合格するには、少なくとも60以上の偏差値が必要です。誰でも簡単に合格できるという大学はありません。保護者の方もその覚悟で受験生を温かい目で見守るとともに、協力してもらうことが大切になってきます
自分の出身地域の大学による地域枠だけが受験可能なのではなく、卒業後の勤務地が指定される場合は、その地域で勤務することができれば受験の可能性が広がります。地域枠は競争率が若干低めになることもあり、地域医療に関心を持っていて受験校のある地域で勤務が可能なら良いチャンスになるはずです。
過去に受験した全私立大学で失敗し、センター試験でも8割以下の結果だった受験生は、夏休み前に老人ホームを巡り、市長を訪ねて地域医療のレポートを提出するなど努力を重ねた結果、地域枠で島根大学に合格しました。こういった事例もあるので、センター試験で良い結果を出せなくても、地域で頑張りたいという熱意があれば、逆転する可能性もあるのです。
医学部入試において得点に差がつきやすい数学は、受験科目の中で最も重要な科目です。はじめに理解しなければいけないのは、数学の場合、私立大志望と国公立大志望では、最終的に求められる能力が違うということです。国公立大の二次試験の場合、まとまった大きな問題にじっくり取り組むことが要求されます。最後の答えを出すことだけが要求されるのではなく、解答に導く過程も重視されます。
また、数学の入試問題では、微分積分の出題の比重が高くなっています。特に現役生は、微積分の演習を十分に行わないうちに入試を迎えることになりがちなので注意が必要です。
長文読解では少しでも早く正解を導くために、設問から必要な情報を瞬時に把握し、適切に処理をする力が不可欠です。ここで点を稼ぐには、構文や文型をきちんとおさえ、論点を捉え、減点されても最小限で済むような正しい日本語や英語で答える訓練をしておくと良いでしょう。また、英作文が多く出題されますが、英作文は必ず自分で書いてみて、高校や予備校の先生に個別で添削指導を受けなければ実力はつきません。
他にも長文問題は読むスピードが明暗を分けます。日頃から自分なりに時間を計って問題を解き、読むスピートを上げていってください。また、英文を読むことに慣れることも必要です。普段の勉強で300~500単語程度の文章しか読んでいないのでは、入試で700単語を読み切ることはできません。入試で700単語の長さの読解が必要なら、普段から1000単語位の長文を読んで、どんな状況でも安定的に読み取れる力を養ってください。
読解問題は、読みやすいが文章量が膨大なもの、構文や単語が難解なもの、論文雑誌や英字新聞などから医学や健康をテーマにしたものを抜粋して問題にしているものに大別できます。ですから、志望校がどのような傾向の問題を出すのかをしっかり分析しておきましょう。
大まかな考え方としては、浪人生も現役生も夏までに一通りの勉強内容を覚えます。とにかく、生物では基本事項や用語の正確な知識を身に付け、できるだけ苦手な分野を作らないようにすることが重要です。
私立大や国公立大の医科単科大の出題傾向として、遺伝子、代謝、神経系、恒常性、人体に関する出題などが増加傾向にあります。特に多く出題される分野は「反応と調節」です。中でも「神経系と筋肉」「免疫」「恒常性の維持」の3分野は出題頻度が高く、大学進学後にも重要なので、おさえておかなければなりません。他にも「生殖と発生」「遺伝」「遺伝子」「代謝」「分類・進化・集団遺伝」も出題頻度が上がってきています。
考察問題では論述式が中心ですから、論述問題の訓練は必須です。日頃から最新の医学や生物学の研究には興味を持ってアンテナを張り、それらの話題に触れておく必要があるでしょう。実際の生物の試験では出題されなくても、小論文や面接の対策にもなりますから、怠ってはいけません。
浪人生は、理論、無機、有機のⅠやⅡの範囲にこだわらず、分野ごとに学習した方が効率的です。その後、標準演習、応用演習と進め、過去問対策やセンター試験、二次試験対策に取り組んでいくのが良いでしょう。
現役生は学校の授業進度に合わせて基礎勉強を確実に定着させ、高校2年の終わり頃から基礎演習、標準演習、応用演習と進みます。そして12月には、過去問対策やセンター試験対策ができると理想的です。
私立大の化学は、例年比較的レベルの高い問題が出題されています。また、私立大に特有の傾向として、化学Ⅱの後半部分である「天然有機化学と高分子化合物」「生活と物質」「生命と物質」に関する問題がよく出題されているようです。したがって、現役生であっても、この分野まで確実に学習することが必要です。浪人生も、時間切れにならないよう、年間スケジュールをしっかりと立て、遅れないよう進めていきましょう。
国公立大の場合は、他学部と同じ問題が出題されるケースが多く、私立大と比較すると標準レベルの出題が多いため、その分合格のためには高得点が求められます。受験対策としては、まず化学Ⅱの理論分野の基礎固めを徹底的に行うことです。理論分野の試験問題は、計算の正確さとスピードが要求されます。化学Ⅰでは、「中和」「酸化還元」「電池・電気分解」が、化学Ⅱでは「溶液」「平衝」「電離」が特に出題頻度が高い分野です。難しい事項に時間をかけて学習するよりも、まずは基本となる事項をしっかりと学習してください。
浪人生は8月の終わりまでに「力学」「波動」「電磁気」をマスターし、物理ⅠやⅡの範囲にこだわらず分野ごとに学習。その後、基礎から応用までの総合演習に進み、12月からは過去問対策やセンター試験対策に取り掛かると良いでしょう。現役生も12月から過去問対策やセンター試験対策に取り掛かれるよう、それまでに基礎~応用の演習に取り組んでください。
難問と思われる融合問題も設定が複雑なだけで、設定を一つひとつ分析すると、問われている内容自体は基礎から標準レベルの問題だということがよくあります。そのため、夏までには基礎事項をしっかりと定着させ、その後は積極的に融合問題に取り組むといった学習ペースが良いでしょう。
現代文を解く場合、一方的な自分の主観を持ち込むのは良くありません。文章の中に紛れている正確な根拠を素早く見つけ、正しい解答を導き出す論理的な解法を身に付けましょう。そのためには、センター試験の過去問などを何度も解き、解説をしっかりと読んで理解することが大切です。この訓練を繰り返していれば、おのずと読解力が付き、センター試験でも高得点をたたき出すことができるはずです。
古文では、早い時期に古文単語を覚え、助動詞、助詞、敬語法などの基本的な意味や用法を正確に理解した上で、実践問題に移ってください。古文や漢文は、高校の授業でしっかりと勉強をしていれば、受験前になってもそれほど慌てることはありません。国公立を目指す人は、古文・漢文は学校の授業で理解しておきましょう。
センター試験の国語は、200点満点中100点が古文と漢字になります。古文では多くの助動詞を覚えなければならない割には、出題されるのは2問程度しかありません。しかし、覚えておけば確実に得点できる助動詞の問題で失点することは許されないのです。漢文では句法と漢字力を身に付ければ、かなりの高得点が期待できるのでしっかり勉強しましょう。
医学部受験は、小論文や面接で社会に対する幅広い関心が要求され、一般常識も問われます。日頃から新聞をよく読み、ニュースをチェックして、社会の大きな流れやトピックスを把握しておくことが大切です。時事的な話題からの出題が多いですが、センター試験では基本概念や用語が中心となっているため、それらのニュースに関する深い知識は不要となります。
春から夏までに一通りの学習を終えているのが、理想的な年間スケジュールです。
秋以降は過去問や予想問題を中心とした実践学習で、解けなかった問題の知識を埋めていきます。このとき、問題があまり解けなったからといって気に病むことはありません。試験日までどれだけ多くの問題を解くかが重要になってきます。
受験生は小論文や面接の対策を本番ギリギリまで残す傾向があります。しかし、受験日が近づくほど、不得意科目に時間を取られてしまい、十分に対策できる時間を確保することができません。ですから、小論文や面接の対策は、時間的にも精神的にもゆとりのある春から始めるのが鉄則です。
小論文には、課題文を読んで論述する課題文把握型、医師としての問題意識を問う問題意識質問型、一見医学とは関係ないように思える抽象的なテーマについて答えさせる抽象論型、「環境破壊」「ゆとり教育」のような医療現場と問題に置き換えられない社会的テーマについて答えさせる社会派論文型と、大別して4つのパターンがあります。
小論文を書くためには、できる限り早いうちから「どんな医師になりたいのか」「なぜ医師を目指しているのか」「どうしてこの大学で学びたいのか」から「自己PR」までをノートに書いておくと良いでしょう。面接の対策にもとても有効です。
実践練習として書いた小論文は、必ず小論文指導の講師や先生に評価と添削をしてもらってください。小論文の上達には、論述がコントロールできるまで何度も繰り返し書いて、書き慣れる以外に方法はありません。