模擬試験で返却された個人成績表を見ながら、生徒面談をすることがあります。その場合、まずは模試結果に対する振返りを生徒自身に話してもらいます。数学や理科では、予想に反した得点の場合にその理由として多いのが「計算ミス」を口にします。文系科目では、「問題文の読み間違い」を理由に挙げます。身に覚えのある人も多いのではないでしょうか。
「計算ミス」や「問題文の読み間違い」などを、単なる「ケアレスミス」として考えている限り、医学部への合格率は下がります。
医学部入試は、他の学部と比較をすると圧倒的に学力レベルの高い受験生が集います。合否は、一般的に試験科目の総合計点を基に決定します。当然、合否を分けるボーダーライン付近には、多くの受験生が分布してます。つまりは、わずか1点でその年の4月から医学生になれるか、或いは浪人生になるかが分かれます。ある大学の担当者から、ボーダーライン前後では、1点の幅に40~50名の受験生が分布していると聞いたことがあります。国公立大学では、第一段階選抜をクリアした受験生が個別試験を受験するため、ボーダーライン付近は同じような学力を持った受験生が多いのではないでしょうか。私立大学は複数校併願可能なために受験者が非常に多く、合格発表は正規合格と補欠繰上合格に分かれます。正規合格と補欠繰上合格の得点差は、何十点も差はありません。わずか1点で補欠繰上合格とならず、或いは浪人生となる人も多いでしょう。
1点という得点の重みを理解していただくために、2025年度の共通テストを例にお伝えします。下のグラフは、2025年度の自己採点会(河合塾・駿台予備校・ベネッセ共済)に参加した全理系参加者の分布です。このグラフは、前年度との比較ができるようになっています。共通テストの平均点得点率(河合塾予想)は、2025年度が63.3%(6教科8科目)、2024年度が61.9%(5教科7科目)となり、1.4%ほど上昇しました。2025年度から「情報」科目が追加されたため、一概に比較はできませんが、わずか1.4%(1000点満点ならば14点)の影響は、得点率8割以上にも大きく影響していることが分かります。8割以上の受験生は医学部を志望する層と重なります。
配点の大きな設問をいくつか間違えると、20~30点の減点となり志望校変更や医学部受験を諦めなければならない場合も出てきます。
ケアレスミスをしないことは、1点を争う医学部入試においては実力の1つと考えてください。先に述べた模擬試験での計算ミスの場合、何が原因なのか振り返ることです。暗算によるミスなのか、問題用紙の余白のなぐり書きの計算式が原因なのか、検算を飛ばしたことによるミスなのか、問題文からの転記ミスなのか、理科の場合には単位を間違えたミスなのか、そもそも三角関数の理解不足によるミスなのかなど、時間のあるうちに少し深い分析を行うことが必要です。例えば、計算を集めたドリルでの練習などはとても有効的です。
最近の入試問題の特徴として、以前と比較をすると問題分量が増加しています。つまり問題文を素早く読んで内容と設問を理解して、解答に取りかからなければなりません。高校3年生の夏ごろからは、志望大学の科目ごとに異なる過去問を使って、あらかじめ問題分量と解答時間を考えて受験勉強をしましょう。
メディカルラボでは、医学部入試における「1点」の重みをとても大切にしています。そこで入校した生徒には「ケアレスミスノート」を渡しています。
これまで受験をした全統模試などの全国模試で自己分析しましょう。もし難しいようでしたら、高校の先生やメディカルラボに相談をしてみましょう。また、メディカルラボでは、「学力診断テスト」を無料で受験できます。皆さまのミスの原因についてもアドバイスを行います。