医学部受験道 | 医学部受験ラボ

「医学部の学費は高額」は本当か?

 医学部をめざす場合には、学力だけでなく学費のことも考えなければなりません。地元を離れて私立大学に進学する場合には、一般的に莫大なお金がかかります。
 医学部は6年制なので、一般的な4年制の学部と比較をすると2年間分は学費が余分に必要です。実習や実験も多いため、生徒一人当たりの教員数も多くなり、これは学費にも反映します。真偽は不明ですが、昔から医学部で1人の学生を医師にするためには、1億円ほど必要だと言われたりします。補助金との兼ね合いもあり、国公立大学よりも、私立大学の方がはるかに高額な学費を必要となります。

 私立大学については、学費と難易度にはある程度の相関関係があります。つまり、学費が安い大学は、慶應義塾大学や日本医科大学のように合格するためのボーダーラインが高い大学が多いです。

 

いったい医学部の学費はどのくらいなのか?

 医学部は、他学部と比較すると留年率が高い学部ですが、留年をせずに6年間で卒業した場合の「6年間学費」は、どのくらいでしょうか。2022年度の実態を基に考えてみます。ここでは、授業料だけでなく入学金、施設設備資金、実験実習費、教育充実費などの全てを加えた、「学納金」で見てみます。 

 国立大学は、約350万円となります。1年間だと約60万円弱です。学生自身が奨学金の利用や家庭教師など時給の高いアルバイトをすることで、なんとか自分で支払うことが可能な金額です。

  高額な学費のイメージがある私立大学医学部。全私立大学31大学の6年間学納金の総額平均は、約3200万円です。私立大学は国公立大学の約9倍になります。保護者が医師などの高額所得家庭でなければ、私立大学医学部に通うことは難しい状況です。

 私立大学は大学別に見ても、大きな違いもあります。最も安価なのは国際医療福祉大学の1850万円、最も高額なのは川崎医科大学の約4700万円です。

 関西医科大学は2814万円でしたが、2023年度から2144万円に減額します。西日本の私立大学医学部において、大阪医科薬科大学と並んで最難関の関西医科大学は、全国から志願者を集めることになりそうです。

 参考までに、2021年度公表の6年間総額の学納金で、3000万円以下の私立大学は、以下の通りです。


 

「地域枠」で入学して、修学資金や奨学金を利用する

 国公立大学や私立大学で、選抜区分の中に「地域枠」等が設定されているならば、選抜試験で合格をすれば修学資金や奨学金を利用できます。給付される金額も、大学ごと、試験区分ごとで異なります。

 私立大学医学部のいくつかは、東北医科薬科大学のようにほぼ国公立大学と同額の学納金となる大学もあります。また、東邦大学の「東京都地域医療医師奨学金」枠のように、国立大学以上に安くなる大学もあります。

 但し、卒業後に一定期間(多くは在学年数の1.5倍、つまり最低9年間)は、大学や都道府県から指示された地域や病院で勤務することや、特定の診療科で医師としての活動をしなければならないなど、いくつかの決められた要件を満たさなければなりません。但し、要件を満たすことで、修学資金や奨学金などの返還が全額免除されます。

 「地域枠」で入学した場合には、将来、医師としての医療活動に制限を受ける可能性もあるので、大学の説明会に行くなど、事前によく考える必要があります。

 また、医学部は教科書を中心に様々な専門書などの購入費用も高額になります。授業が忙しくて、アルバイトをできない場合もあります。自宅を離れて一人暮らしをする場合には、住居費や食費も別途必要となります。 

 受験校を選定する際には、医学部に入学してから卒業するまでに、どのくらい費用がかかるのかを、ご家族でじっくりと考えてみることは大切なことです。