医学部受験道 | 医学部受験ラボ

2022年度の医学部入試はどうだったか?[その4]

2022年度入試は、コロナ禍で2年目の実施を迎えました。
'コロナ禍'は、医学部入試にどのような影響を与えたのでしょうか?

 

コロナ禍、1年目が及ぼした医学部入試への影響

 コロナ禍2年目の入試を振り返ってみます。

 まずは2021年度のコロナ禍1年目については、誰もが経験をしたことがない特別な状況下で、受験勉強と入試を迎えることなりました。この年度の高3生は、緊急事態宣言に伴う休校も含めて課外授業や部活動など、様々な制限がかかりました。一番危惧されたことは、高校間、現浪間で授業進度の格差が出たことでした。これに対して文科省は、入学試験の際、大学に対して有利・不利がでるような入試問題を出題しないように通達しました。これにより、出題範囲の制限や難度が極めて高い問題を出題しない大学が増加しました。
 ※文科省が各大学に通達した『新型コロナウイルス感染症対策に伴う試験期日及び試験実施上の配慮等』(令和2年6月19日に)の概要

 2021年度の受験生は、自宅から離れた大学の受験を控える傾向がありました。コロナ感染だけではなく、入学後の1人暮らしを考えると、どうしても近隣の大学にと考えると思います。
 また、推薦・総合型選抜を積極的に利用する受験生も増加しました。これは、コロナ禍でチャンスを1回でも確保したと考えてのことだと思います。受験生の中には、一般選抜であれば高いレベルの大学を狙える場合でも、推薦・総合型でレベルを下げて受験する人も多くいました。
 中高一貫校で、進度が早い場合は有利に働きました。部活動や生徒会活動などが制限されたことは、自分で勉強を進めることができる受験生にとっては合格に大きく寄与しました。

コロナ禍、2年目が及ぼした医学部入試への影響

 さて、コロナ禍2年目は受験生や保護者も大学も予備校も、コロナ禍慣れをした感じがあります。2022年度入試は、誰もがコロナ禍で実施されることを前提に準備を進めていました。
 高校の課外授業や部活動などを、コロナ禍以前と同様に行う高校も多く、前年度のような授業進度の格差問題も解消されました。
 では、全てがコロナ禍前に戻ったかと言うと、そうではありませんでした。入試問題について各大学は、その作成を試験実施の半年前位までに行います。昨年の8月を思い浮かべてみると、コロナ第5波が日本中を襲っていました。秋から冬にかけて高校が休校になる可能性もあったため、そのことを考慮した大学は、難度の高い入試問題を出題しませんでした。つまり、大学によっては入試問題の難度はコロナ以前には戻ってはいません。この傾向は、私立大学に多く、幾分、易しめの問題出題が多かったと思います。
 受験校選択について、国公立大学の志願者は、ボーダーラインが平均で約6%もダウンしたことも影響して、少しでも可能性の高い大学を求めて全国を視野に受験を考えたことで分散をしました。もちろんコロナ禍慣れも影響しています。
 私立大学は、東京を中心に東日本の医学部の志願者数は前年度を上回り、コロナ禍以前を越えた大学もありました。一方、西日本の医学は、多くの大学が前年度を下回りました。
 私立大学は、約2/3が関東を中心に東日本に所在します。私立大学専願又は併願の場合には、東日本の医学部受験も考えなければならず、西日本の人はコロナ禍慣れも手伝って、関東の大学も積極的に受験をしたようです。

 2023年度は、コロナ感染拡大が収束していることを願いますが、受験生はコロナ禍が継続していることを考慮して、受験勉強の計画をした方が良いと思います。