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2022年度の医学部入試はどうだったか?[その1]

2022年度入試は全て終了しました。大学入試改革は2年目を迎えました。また、コロナ禍での入試も2年目となりました。

今回は、3月29日時点で判明している情報を基に、2022年度の医学部入試を、何回かに分けて振り返ってみます。

 

2年目の『大学入試改革』で何が変わったか?

大学入試改革が導入されて、2022年度入試は2年目になりました。
大学入試改革の大きな変更点を述べると、次の2点になります。
 ①「知識・技能」以上に、「思考力・判断力・表現力」を中心に入試問題を出題する。
 ②  新たに「主体性」等の評価を行う。
 今年は、この大学入試改革が2年目を迎えたことが1つのポイントです。これまでも、何回か大きな入試改革が実施されました。例えば、共通一次試験やセンター試験の導入、旧課程から新課程への教育課程の変更などです。改革最初の年度は、高卒受験生のことも考慮してか、入試問題は易しい出題となる場合が多いです。そして、2年目は難化します。
 大学入試改革の目玉の1は、共通テストの実施でした。昨年度の共通テストは、1年目の実施でしたが、大学入試改革の趣旨から考えると、「思考力・判断力・表現力」を評価する出題となるため、一部の関係者からは難化するのではないかと言われていました。結果は、予想に反して平均点はアップしました。ただし、改革の趣旨通り、「思考力」などを必要とする問題も多く、高得点者層の人数は減少し、共通テストにおける医学部のボーダーラインも下がりました。


 そして、今年は2年目の共通テストでしたが、’2年目のジンクス’通り、予想以上に難化しました。数学ⅠAの平均点は約38点となり、前年度よりも約20点も難しくなりました。他の科目も含めて全体が「思考力・判断力・表現力」を意識した出題となり、高得点層は大幅に減少しました。
 医学部受験生は、共通テストを5教科7科目900点満点で受験しますが、
河合塾の予想では理系全体の平均得点率は57%となり、前年度よりも6.5%もダウンしました。 

難化した共通テストは、医学部ボーダーラインに影響!

 共通テストが終了した翌日に実施される自己採点結果を基に、各大学のボーダーラインが設定されます。共通テストの平均点が下がれば、当然、各大学のボーダーラインも、前年度よりも下がります。先に記載したように、6.5%ダウンしたために、ボーダーラインは多くの医学部で3~6%ほど下がりました。仮に80%以上を高得点者層と定義すると、前年より38%も高得点者層が減少しました。
 さて、’どこか’の国公立大学の医学部に合格するために必要な得点率は、次の通りです。
  センター試験:85%
  共通テスト1年目:80%
  共通テスト2年目:75%
 こうしてみると、この3年間で得点率は10%もダウンしています。つまり、共通テストになってから、かなり難しくなったことが分かります。
 そして医学部の合否は、共通テストと個別試験の合計で決まります。医学部前期については、個別試験の配点比率が高い大学が多いため、個別試験が得点できなければ合格できないケースがほとんどです。
 大学名は出しませんが、共通テストの得点率が70%前後でも、前期個別試験で高得点を取ることができたために合格した生徒が数名いました。
 国公立大学の場合には、共通テストと個別試験の勉強割合をどのように考えて対策をするかの戦略も大切です。