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卒業時の学習成果の到達目標を明示し それを測定することで卒業生の質を保証する
アウトカム基盤型教育 医学部教育の今

2017/09/15

2014年度時点で導入した医学部は9校だが
今後、加速することは確実

 近年の大学で急速に進行しているのが「アウトカム基盤型教育」と呼ばれる新しい教育システムへの移行です。大学のパンフレットなどで目にしても、中身がよく分からないという受験生や保護者もいると思われますから、解説することにします。
 ただし、これは他学部で先行した教育システムで、医学部はこれまであまり導入に積極的ではありませんでした。日本医学教育学会が2015年12月に公表した「コア・コンピテンス教育に関する調査報告書」によると、2014年度時点で「アウトカム基盤型教育」を採用している医学部は9校(回答校の15.8%)に留まっています(内訳は国立4校、公立0校、私立5校)。
 それでも、ここ数年、カリキュラム改訂を実施した医学部のほとんどで、「アウトカム基盤型教育」に移行しています。
 たとえば千葉大学、新潟大学、鹿児島大学、埼玉医科大学、慶應義塾大学、帝京大学などがそうです。日本医学教育学会の調査では、「今後、導入する方向で検討中」と回答した医学部が37校(回答校の77.1%)に上っており、これから導入が加速することは確実といえます。

 

3つのポリシーを明確化しDPを念頭に置いた学びを推進

 「アウトカム基盤型教育」とはどのようなもので、なぜ今、導入が進められているのでしょうか。
 日本の大学は「入学は難しいが、卒業は比較的楽にできる」と批判されることがありました。所定の単位を取得しさえすれば卒業できるからです。もっと卒業要件を厳格化し、卒業生の質を保証する必要があるのではないかという指摘が度々されてきました。
 そこで現在、文部科学省では、各大学に対して、アドミッションポリシー(AP=入学者受け入れの方針)、カリキュラムポリシー(CP=教育課程の編成・実施の方針)、ディプロマポリシー(DP=学位授与の方針)の3つのポリシーを明確にすることを求めています。それを受けて、文部科学省の「大学における教育内容等の改革状況について」によると、2014年度段階で、すでにAPは100%、CPとDPは約98%の大学で定められています。各大学のホームページに記載されていますから、興味のある人はチェックしてみてください。
 3つのポリシーのうち、DPには、卒業までに学生にどのような知識や能力を身につけさせるのか、学習成果(アウトカム)の到達目標が示されています。このDPを念頭に置いて、大学のすべての学びを組み立てていこうというのが「アウトカム基盤型教育」なのです。DPを踏まえて、CPは、その到達目標を達成するためのカリキュラムの編成・実施の方針であり、APは、到達目標をクリアできるだけの能力を備えた学生を入試で選抜するための方針と位置づけられます。
 こうして3つのポリシーを連動させながら、DPの到達目標の達成度を何らかの形で測定し、卒業要件とすることによって、教育の質を高めることをめざしているわけです。
 

導入校の卒業試験では知識だけでなく
コンピテンシーも問われる

 医学部が導入に積極的でなかったのは、これまでも卒業試験を課すことで卒業生の質が担保されてきたからです。他学部とは事情が異なります。
 けれども、今後、「アウトカム基盤型教育」に移行した医学部に入学した場合は、学び方や、学ぶ際の意識を多少変える必要がありますから、注意しておきましょう。
 たとえば、DPは、卒業までの学習成果(アウトカム)の到達目標として、「~ができる」という表現が使われるのが一般的です。「何を学ぶか」ではなく、「何ができるようになるのか」に眼目が置かれているわけです。そう視点を変えるだけで、学び方の意識が変わる面もあるでしょう。いずれにしても、DPを見て、卒業までに「何ができるようになる必要があるのか」を確認し、確実に「できるようにする」主体的な学びの姿勢が求められることは確かです。
 しかも、「~ができる」の内容を見ると、知識・技術以外に、コミュニケーション力、倫理観など、いわゆるコンピテンシーと呼ばれる行動特性、人間性などの力も「身につけて、できるようになる」ことが含まれています。当然、それらのコンピテンシーも卒業試験で何らかの形で問われることになります。 極端なことをいえば、知識の修得は十分でペーパーテストで高得点であっても、面接などでコンピテンシーが不十分と見なされれば、卒業できない可能性もあるのです。ですから、コンピテンシーも意識的に高める努力が大切になります。
 日々の学びも変化します。DPの到達目標の達成に向けて、すべての科目が構築されているからです。各科目のシラバス(履修要項)には、DPに示された能力のうち、どの能力をどの程度高める科目であるのかが明記され、履修を終える段階で「どのようなことができるようになるのか」を書くことが、担当教員に義務づけられています。試験ではその力を試す問題を必ず出題することになっています。
 さらに、学生にポートフォリオ(学習記録表)の作成を課し、常にDPに記載されたコンピテンシーを意識させ、その力がどの程度高まっているか、自己評価させ続けている大学もあります。学生にとっては、かなり手間のかかる制度ですが、面倒と感じずに、自分の力を向上させる上で役立つ制度と捉えて、しっかりこなすことが重要です。

 

千葉大学、鹿児島大学で実施されている先行事例

 いくつかの医学部の先行事例を紹介します。 
 千葉大学医学部では、右に示した3項目を、卒業時の学習成果(アウトカム)に設定し、それを達成するための6つのコンピテンス領域を定め、それぞれのコンピテンシー(計36項目)を明示しています。
 「倫理観とプロフェッショナリズム」を例にあげると、
●倫理的問題を理解し、倫理的原則に基づいて行動できる
●法的責任・規範を遵守する
●他者の尊厳を尊重し、利他的、共感的、誠実、正直に対応できる
●患者とその関係者の心理・社会的要因と異文化、社会背景に関心を払い、その立場を尊重する
●常に自己を評価・管理し、自分の知識、技能、行動に責任を持つことができる
●専門職連携を実践できる
●自らのキャリアをデザインし、自己主導型学習により常に自己の向上を図ることができる
●同僚、後輩に対する指導、助言ができる
の8つが、卒業時に身につけるコンピテンシーになっています。先述したように、多くが「~ができる」と表現されていることが分かります。
 こうした学習成果を達成させるために、医学英語、研究室配属、プロフェッショナリズム、専門職連携教育などは、6年間一貫教育プログラムが用意され、段階を踏んで、様々なコンピテンシーを身につけることができるようになっているところに特色があります。
 高学年次の医学英語を例にとると「英語による医療面接・身体診察・診療録作成・症例プレゼンテーションができる」というハイレベルで具体的なアウトカムが設定されています。
 鹿児島大学医学部は、2009年度からと、かなり早い時期から「アウトカム基盤型教育」を導入しています。到達目標に、
●知識に関する項目で、応用できる学際的知識とともに、情報の収集や選択する能力も含めたこと
●実践的なレベルでコミュニケーションやチーム医療に関する項目を設定したこと
●離島・へき地を含む地域医療の医師の役割を理解するだけでなく、役割の自覚や行動も求めたこと
●鹿児島でとくに重要な地域、文化における疾患と医療の多様性の理解を含めたこと
●研究マインドを具体的な能力として記述したこと
などが特徴です。
 また、アウトカムを達成するために、カリキュラムを3つのフェーズに分け、中間の目標となるマイルストーン(進捗を管理するために途中で設ける節目)を設定し、その時点で学生に達成度をチェックさせている点も注目されます。さらに、eポートフォリオ(学習記録表)の作成も義務化しています。
 


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