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主体的な学習を支援する 「ラーニング・コモンズ」 医学部教育の今

2016/09/15

「アクティブ・ラーニング」を充実させるためにグループ学習の場を確保

 2010年代に入ってから、大学図書館をリニューアルして、「ラーニング・コモンズ」という施設を設ける大学が急増しています。とくに医学部ではその動きが活発です。

 「ラーニング・コモンズ」とは、文部科学省では「複数の学生が集まって、電子情報も印刷物も含めたさまざまな情報資源から得られる情報を用いて、議論を進めていく学習スタイルを可能にする『場』を提供するもの。その際、コンピュータ設備や印刷物を提供するだけでなく、それらを使った学生の自学自習を支援する図書館職員によるサービスも提供する」と定義しています。
 もともとは、アメリカの大学で、1980年代半ばから、情報のデジタル化が急速に進展したことに伴って、図書館のIT環境の充実を図り、「インフォメーション・コモンズ」として生まれ変わらせる動きが活発化したことが始まりです。その後、単なる文献・デジタル情報の提供だけでなく、学生の自学自習を促進することも、図書館の重要な役割であるという議論が活発になり、「ラーニング・コモンズ」への転換が構想されるようになりました。
 日本では、国際基督教大学図書館が2000年に「スタディ・エリア」を設置したのを契機として、お茶の水女子大学図書館が2007年に初めて「ラーニング・コモンズ」という名称の施設を設け、2010年代に入ってから、急速に拡大しています。
 図書館といえば、これまでは本を借りたり、調べものに利用したり、一人で静かに黙々と自習したりといった目的で使う施設というイメージが強かったと思います。では、なぜ「ラーニング・コモンズ」の整備が必要になったのでしょうか。
 近年、多くの大学で、教員による一方通行の授業から、学生が積極的に参加する双方向型授業への転換を図っています。グループディスカッション、ディベートなど、さまざまな教育方法が導入され、総じて「アクティブ・ラーニング」と呼ばれています。そうしたスタイルの授業を充実させるためには、授業時間以外でも、グループで学習できる環境を作ることが重要になるわけです。
 とくに医学部では、PBLチュートリアルという独特の形式の授業が盛んに行われています。教員から提示された課題を、グループで検証し、調べ学習を行い、問題解決策を議論して、プレゼンテーションする授業です。医学部が「ラーニング・コモンズ」の設置に積極的なのは、このPBLチュートリアルの事前・事後学習の場として、グループで集まって学習できる場を確保しておきたいという狙いがあると考えられます。

 医師には生涯にわたって学び続ける姿勢が要求される

医学部が「ラーニング・コモンズ」の整備に力を入れているのは、そのほかにも理由があります。
 どんな職業でも同じですが、医師にはとりわけ生涯にわたって学び続ける姿勢が要求されます。医学の進展は目覚ましく、学生時代に習得した知識はすぐに形骸化してしまうからです。患者に最も有効な治療を提供するには、常に最新の知識・技術を学び続けることが重要になるのです。そうした生涯学習の意欲・姿勢を養うために、多くの医学部で自学自習の場を整えているわけです。
 もちろん、従来型の図書館でも、自学自習に利用されていましたが、グループで学習できる機能を付加したことで、切磋琢磨する環境を実現しています。周囲の学生がどんな勉強を進めているのか、意識することで、学びのモチベーションも高まるでしょう。
 また、ほとんどの医学部の学生が真面目で、課題レポートなどに一所懸命に取り組んでいます。けれども、難しい課題が与えられたときは、友人と相談したい場合もあるはずです。「ラーニング・コモンズ」は、そんなニーズにも応えています。
 さらに、「ラーニング・コモンズ」の多くでは、学生の質問などに応じる専門の職員を配置しています。疑問が生じたときにすぐに相談できるメリットは大きいといえるでしょう。
 

岩手医科大学、東京医科歯科大学、金沢医科大学、福岡大学、佐賀大学の例

なお、「ラーニング・コモンズ」の形態は、大学によって多種多様です。図書館の一部に設けるケースが多いものの、他の施設に設置する場合もあります。いくつかの大学の具体例を紹介します。
 岩手医科大学では、2015年1月、「目的を持って集い、学び、議論する」をスローガンとして、2つのエリアで構成される「ラーニング・コモンズ」を新設しました。「コラボレーションエリア」は、リラックスした気分で集まれるように、食堂の一部を改装し、飲食しながら自由に議論することができるスペースになっています。カウンター席、ファミレス席が設けられ、人数に応じた多様な学習が可能です。ファミレス席のテーブルはホワイトボードの素材でできており、自由に書き込みが可能になっています。壁面大型ホワイトボードや電子黒板も完備されています。「プレゼンテーションエリア」は、モール棟の一角に設けられています。学生・教職員が自由に行き交うオープンスペースであり、そこでプレゼンテーションの練習や、実際の発表を行います。学内のすべての人が自由に発表できると同時に、聴衆にもなることが可能な環境をめざしています。
 東京医科歯科大学は、2014年11月に「グローバル・コモンズ」を開設しました。机、椅子、ホワイトボードが設置されており、無線LANも使用できます。主として、電子ジャーナルやデータベース、本、雑誌などを用いて、複数の学生が議論を進めるグループ学習に活用されています。
 金沢医科大学では、「ラーニング・コモンズ」として使用できる「スチューデント・ドクター医局(SD)」という専用施設を設けています。学生は臨床実習に入ると、病棟、検査室、手術室、外来、救急など、学習する場所が転々とします。SDは、落ち着いて自学自習に取り組める「拠点地」と位置づけられた施設です。学生各自に専用の机とロッカーが与えられ、グループディスカッションや、指導教員からのミニレクチャーなどに活用されるグループ学習室も設けられており、24時間使用可能になっています。
 福岡大学医学部では、図書館の医学部分館の各階に1カ所ずつ「グローバル・コモンズ」を設けています。図書館の資料を活用したディスカッションや、論文・レポート作成などができるオープン学習エリアです。机・椅子は、利用目的や人数に応じてエリア内で自由に移動することができます。また、大学生のライブラリーアシスタントが待機しており、レポートや論文を書くために必要な情報を選択する方法や、論理的な文章の書き方などをアドバイスしています。そのほかに、グループによる共同研究、プレゼンテーションなどが行える「グループ学習室」も用意されています。
 佐賀大学医学部では、図書館本館に、複数の学生で学習しやすい、会話OKの「ラーニング・コモンズ」を設置。プロジェクターやスクリーンなどを備えた部屋(グループ学習室、ビデオスライド室)も別に設けられています。医学部分館にも可動式の机・椅子とホワイトボードを備えた多目的学習室、グループで会話しながら学習できる大小2つのビデオスライド室があります。
 

有効に活用されるためには学生の「自覚」が重要になる

このように、医学部では「ラーニング・コモンズ」の設置が進行しています。しかも、今後はさらに増加しそうな勢いを見せています。下に示したように、文部科学省の「学術情報基盤実態調査」によると、「グローバル・コモンズ」をはじめとするアクティブ・ラーニング・スペースを設置する大学は、2014年度で338大学(43.4%)にのぼり、この3年間で約2.5倍に増加しているのです。
 その一方で、いくつかの問題点も指摘されるようになっています。たとえば、共同学習に適した環境が提供されているにも関わらず、それを十分に活用できているのは一部の優秀な学生に限定されており、多くの学生は従来の図書館と同様の活用しかしていないという指摘です。また、せっかくIT環境を整備しても、パソコンのデバイスで遊んでしまっている学生もいるという声も聞かれます。「ラーニング・コモンズ」が、本来の目的通りの機能を有することができるかどうかは、利用する学生の「自覚」が鍵を握るとも言えるでしょう。
 改めていうまでもなく、医師を志す皆さんにとって、医学部合格はゴールではなく、むしろスタートラインに立ったと捉えるべきです。入学後は、「ラーニング・コモンズ」を積極的に活用して、学びへの「自覚」を高めて、生涯にわたって自学自習を続ける姿勢を育むことが大切になるでしょう。

 


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