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診療参加型の臨床実習 「クリニカル・クラークシップ」 医学部教育の今

2016/02/15

2013年度段階ですべての医学部が導入回診参加、診療録記載など、多彩な実習内容

 かつての医学部の臨床実習は、「ポリクリ」といわれる外来での見学や、「ベッドサイド・ティーチング」と呼ばれる入院患者を対象とした病棟での診療の見学が中心でした。いずれも「見学型」の臨床実習になっていたわけです。それでは在学中に実践的な診療能力を高めることは困難です。

 そこで、近年の医学部で急増したのが、「クリニカル・クラークシップ」という新たなスタイルの臨床実習です。全国医学部長病院長会議の調査によると、2013年度段階で、全国80医学部すべてに導入されています。
 クリニカル・クラークシップは診療参加型臨床実習と和訳されます。クラークは書記、事務員を意味しており、学生が医師の指導のもとで、クラークとして患者を受け持ちます。<資料1>に示した通り、指導医の指導・監視を受けながら、一定の範囲内の医行為を実践することが許容されるほか、回診やカンファレンスへの参加、プレゼンテーション、診療録(カルテ)の記載など、多様な活動に取り組みます。医療チームの一員として、実際の診療に参加することで、実践的な臨床技能や問題解決能力が鍛えられるはずです。
 なお、<資料1>で「その他」と回答した大学の実施内容は、「往診、訪問診療、当直」(大分大学)、「電子カルテに直接記載はさせていないが、診療科によっては記録をとらせ、指導医が添削する」(横浜市立大学)、「学会参加・発表」(順天堂大学)、「一部の地域への往診」(大阪医科大学)などになっています。

1997年度からと早期導入した東海大学や島根大学、杏林大学などの事例

 クリニカル・クラークシップとはどのようなものなのか、イメージしやすいように、いくつかの大学の事例を紹介しましょう。
 東海大学医学部は、最も早い時期の1997年度から導入した大学として知られています。1クール2週間を基本に、大学病院の全診療科を巡回します。学生をゲスト扱いせず、完全に診療チームの一員として行動することが求められています。カルテも指導医と学生が共有します。特徴的なのが「カルチャー」と呼ばれる場が設けられていることです。「カルチャー」では、学生が毎日、担当患者を訪問し、新しい問題が起こっていないかをチェックし、患者の状態をチームの他のメンバーにプレゼンテーションします。また、チームで患者を回診し、診察、処置、検査を実体験するとともに、「カルチャー」で今後の診療方針についてディスカッションも行われます。その際、学生にも頻繁に意見が求められ、医師としての責任感と主体性が鍛えられます。そのほか、学生と指導医が相互に評価するシステムも導入されています。
 島根大学医学部のホームページには、クリニカル・クラークシップの1日の流れが記載されています。まず初日のオリエンテーションでは、指導医から診療チームと受け持ち患者が紹介され、回診、症例カンファレンス、レクチャーなど、当該診療科での行事を確認します。その後の日々の流れは下記の通りです。

●朝、指導医が病棟にくる前に、受け持ち患者の看護記録に  目を通した上で、自分で回診・診察し病状を把握し、問題 点を整理しておく。
●毎朝のチーム回診に参加し、受け持ち患者については 口頭で提示する。
●指導医とディスカッションを行い、今後の方針を決定す ると同時に、診察内容をカルテに記載し、署名する。この 際、記載内容についての指導医の点検(加筆・訂正)を受 け、署名してもらう。
●不明な点、問題点は指導医と相談するが、自主的に文献 などを検索し、解決へ向けての学習を行う。
●症例カンファレンス、レクチャーには必ず参加し、受け持ち 患者についてはプレゼンテーションを行う。
●新患の医療面接や身体診察を行い、回診やカンファレンス でプレゼンテーションを行う。
●受け持ち患者の検査、処置、手術、他科紹介などには必ず 出向き、指導医の指導を受ける。
●医行為は、水準によっては指導医の指導のもと実施する。
●患者、家族に対する病状説明や治療方針の話し合いなど にも参加する。
●病棟を離れる場合は、指導医の許可を得る。
●帰宅時は、必ず指導医に報告し、その日のまとめとチェック をしてもらう。
 では、こうしたクリニカル・クラークシップによって、どのような能力が身につくのでしょうか。杏林大学医学部では、以下のような到達目標を掲げています。
●患者や家族から診断に必要な情報を聴き出すことがで きる。
●身体診察の基本的な技能を習得し、活用できる。
●病歴と身体所見を正しい医学用語で記載できる。
●診断に必要な基本的検査を実施し、自ら結果を解釈できる。
●診断に必要な専門的検査を選択し、自ら結果を解釈できる。
●収集した情報から鑑別診断を行い、治療計画を立てること ができる。
●回診やカンファレンスで患者情報を適切に報告できる。
●診断や治療に必要な文献検索ができる。
●指導医の監視のもとで基本的処置や手技ができる。
●コメディカルの役割を理解し、協調できる。
●患者の心理状態、社会的背景を理解し、良好な関係を築く ことができる。
●インフォームドコンセントの重要性を理解できる。
 

より充実した臨床実習を実現するための「学生医」(スチューデントドクター)制度

ところで、かつての臨床実習が見学型になっていたのは、医師国家試験に合格していない学生には、厳密にいえば診療に携わる資格がないことがネックになっていました。

 この点を解消するために、全国医学部長病院長会議は、2013年1月の定例記者会見で、「医師養成グランドデザインへのアクションプラン」を公表。その中で、4年次に実施される共用試験(CBT、OSCE)に合格した学生を「学生医(スチューデントドクター)」に認定することを提唱しています。「学生医」として実施できる医行為の水準の策定も進め、臨床実習で体験できる活動の幅を広げていく構想です。
 それを受けて、2013年度段階で、29校(全医学部の36.3%)で、大学によって名称は異なりますが、「白衣授与式」「臨床実習開始式」「スチューデントドクター認定証授与式」などで、「スチューデントドクター証」「SP(Student Physician)章」などを授与しています。医師免許のない学生が医行為をするにあたり、一定レベルの知識と技量を有していることを、大学が保証する体制が築かれつつあるわけです。スチューデントドクターの呼称が与えられることによって、学生にも誇りと責任感が生まれる効果もあるようです。
 それによって、より充実したクリニカル・クラークシップが展開されることが期待できますが、課題も残されています。各医学部の教員からは、<資料2>のような課題が指摘されています。とくに、大学病院だけでなく、一定期間は学外の医療施設で臨床実習を行うことを義務づけている大学もありますが、そうした医療施設で、いかに学生参加型の体制が構築できるかは大きな問題といえます。また、学生の医行為には、事前に患者の同意が必須になりますが、協力してくださる患者をどう確保できるかもポイントになります。
 文部科学省では、2013年度予算で、「グローバルな医学教育認証に対応した診療参加型臨床実習の充実」事業を実施。そうした課題に取り組む10校を選定しました<資料3>。今後、これまで以上に多彩なクリニカル・クラークシップの形態が提案されることが期待されています。

 

<資料1>クリニカル・クラークシップの内容(複数回答)
・回診に参加 80校
・プレゼンテーション 79校
・医行為(採血・手術助手など) 76校
・診療録の記載 58校
・カンファレンスへの参加 79校
・その他 8校
※全国医学部長病院長会議「平成25年度医学教育
 カリキュラムの現状」より
 
<資料2>クリニカル・クラークシップの今後の課題
・施設・設備の充実 50校
・相互実習や臨床予備実習等の事前教育の充実 52校
・臨床実習指導者の確保 65校
・学内の臨床実習指導者へのFD等の充実 69校
・学外の臨床実習先の確保 61校
・学外の医療機関の臨床実習指導者へのFD等の         
  充実 52校
・診療参加型臨床実習の協力患者の確保 29校
・その他 10校
※文部科学省「平成25年度医学・歯学教育指導者ワークショップ」参加者アンケートより
 
<資料3>「グローバルな医学教育認証に対応した
診療参加型臨床実習の充実」事業の選定大学
・筑波大学 
    高い実践力を育む大学-地域循環型臨床実習
・信州大学 
    150通りの選択肢からなる参加型臨床実習
・京都大学 
    国際交流を拡充したタスク基盤型の臨床実習
・岡山大学 
    脱ガラパゴス!-医学教育リノベーション
・琉球大学 
    グローバル&ローカル対応琉大ポリクリ方式
・札幌医科大学 
    地域拠点と連携によるICT連動型臨床実習
・京都府立医科大学
    診療参加型臨床実習の質保証システムの確立
・東京慈恵会医科大学
    参加型臨床実習のための系統的教育の構築
・東京女子医科大学
    国際基準評価で質保証される実践臨床実習

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