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臨床実習の集大成として 課される「Advanced OSCE」 医学部教育の今

2015/09/15

2013年度段階で全医学部の7割近くで「Advanced OSCE」を実施

 すべての医学部で、臨床実習に入る前に「CBT(Computer Based Testing)」と「OSCE(Object Structured Clinical Examination)通称:オスキー」という2種類の全国共用試験が課されます。臨床実習を行うだけの実力を身につけているかどうかをチェックする試験です。「CBT」は、基礎医学と臨床医学の基本問題が出題され、それまでに学んだ知識の総合的理解力が問われます。一方の「OSCE」は実技試験で、医療面接、胸部診察、心音・呼吸音聴診、腹部診察、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸、体温)の測り方など、基本的な診察能力を試す内容になっています。いずれも、大学ごとに設定された基準以上の成績(「CBT」は60%以上、「OSCE」は70%以上を合格とする大学が多い)を収めないと、臨床実習に進むことができません。
 それに加えて、近年、臨床実習の後に「Advanced OSCE」という試験を課す大学が急増しています(卒業前OSCEと呼ぶ大学もある)。全国医学部長病院長会議の調査によると、2013年度は全80医学部中54医学部(67.5%)で実施されています。臨床実習によって、きちんとした臨床能力が備わったのか、客観的に評価することが目的です。


2005年度から導入した東海大学医学部 徳島大学医学部は思考過程を重視

 「Advanced OSCE」とはどのような試験なのか、いくつか具体例を紹介しましょう。
 東海大学医学部は、2005年度からと、他大学に先駆けて「Advanced OSCE」を導入しています。クリニカル・クラークシップ(臨床実習)の総括的評価として、5年次終了時に実施されます。模擬患者を相手に医療面接をした後、身体診察を行い、診断を確定して患者に治療方針を伝えるまでの一連の流れをシミュレートする試験です。知識だけでなく、臨床技能や態度、さらにはコミュニケーション能力などが重視されています。
 徳島大学医学部では、6年次の6月下旬に、臨床実習の総仕上げとして実施しています。同一症例課題に対して、医療面接(10分)、身体診察(模擬患者10分、イチロー<心臓病診察シミュレーター>あるいはMrラング<呼吸音聴診シミュレーター>5分)、診療録記載(30分)を行った後に、症例プレゼンテーションを行い、それぞれの評価者からフィードバックを受けます。また、手技課題(心電図記録、縫合・結紮、病棟手洗い、採血のいずれか5分)についても同時に試験が行われます。単に表面的な手技を評価するのではなく、臨床推論、診療録記載、症例提示が一体となった思考過程を重視しています。成績が優秀だった学生には表彰状を授与しています。
 

大阪医科大学、兵庫医科大学、和歌山県立医科大学の実施例

  大阪医科大学では、5年次の「クリニカル・クラークシップ」、6年次の「選択臨床実習」の集大成として実施しています。模擬患者に医療面接を行うのですが、どの疾病を持つ患者であるかは学生に知らされていないため、患者の課題や希望をきめ細かくヒアリングし、深く理解した上で、正確かつ応用力の高い診察・診断を行い、検査・投薬・入院などの判断を下す能力が要求されます。まさに臨床現場で行う治療行為そのものが試験課題になっているといえるでしょう。
 兵庫医科大学では、臨床実習を終えた直後の6年次の6月初旬に実施しています。2014年度は、外科縫合・ガウン、直腸診、胸痛、腹痛、しびれ、の5つのステーションで行われました。各ステーション15分間を基本として、模擬患者(学生)やシミュレーターを使用して、診察場面を設定し、患者の訴えを聞き、検査などをして鑑別診断を下します。外科では手術用ガウンを着用し、シミュレーターを用いて縫合・抜糸を行います。また、一部では禁煙指導、遺伝カウンセリング、内視鏡説明、死亡宣告など、患者への説明が主体となる課題が含まれることもあります。臨床技能や態度だけでなく、コミュニケーション能力など、総合的な臨床能力を評価しているわけです。
 和歌山県立医科大学では、教育研究開発センターが中心になって、課題の作成などに取り組んでいます。「Advanced OSCE」を充実させるためには、模擬患者の育成も重要ですから、「模擬患者の会」も発足させています。同大学のホームページには、右に示したように、具体的な課題例も掲載されていますから、参考にしてください。
 

卒業試験の受験資格や、卒業判定に活用する大学もあり、十分な対策が必要

 「Advanced OSCE」の成績がどのように用いられるのか、以下のように、大学によって異なります。

●札幌医科大学/「Advanced OSCE」に合格した学生にのみ 卒業試験の受験資格を与える。
●獨協医科大学/「Advanced OSCE」が合格基準に達していることを卒業要件の1つにする。
●埼玉医科大学/卒業判定に活用する。
●順天堂大学医学部/卒業試験の実技試験として位置づける。
●愛知医科大学/各診療科におけるクリニカル・クラークシップの評価とあわせて、臨床実習の単位認定に含まれるとと   もに、臨床実習の最終試験として位置づける。
●兵庫医科大学/卒業には「Advanced OSCE」修了が必須。やむを得ず欠席の場合は、他大学の「Advanced OSCE」    への派遣等を行う。また不合格の場合は再試験を課し、再試験不合格の場合は1課題につき卒業総合試験より点数を差  し引く。
●川崎医科大学/5年次に実施し、合格した者のみを進級と認める。
●徳島大学医学部/卒業判定の参考資料とする。
 
 また、岡山大学医学部のように、「Advanced OSCEを受験することが、卒業試験の受験要件」としていたものを、2011年度から「卒業時成績の一部として点数化する」と、より重視する姿勢を打ち出している大学もあります。大阪大学医学部では、2011年度に卒業試験を廃止。それに代わる試験として「Advanced OSCE」を実施しています。
 いずれにしても、卒業試験の受験資格、卒業判定の資料、進級要件など、大学によって位置づけは異なるものの、重視されていることは確実ですから、けっしておろそかにはできません。十分に対策を立てて臨む必要があります。


医師国家試験においてOSCEが課される可能性はあるのか

  ところで、韓国では2009年度から、医師国家試験にOSCE(実技試験)が導入されています。それを受けて、2010年12月、医道審議会医師分科会に設置された「医師国家試験改善検討部会」では、日本の医師国家試験においてもOSCEを導入して、知識だけでなく、臨床技術も問う必要があるのではないかという議論が、テーマの1つになっていました。
 大学側でも、同部会の検討状況は十分に意識しているようです。たとえば、東京医科大学では、ホームページに「近い将来、国家試験への導入が見込まれているため、各診療科にAdvanced OSCEによる評価を浸透させるべく取り組んでいる」と記載されています。近年は、いくつかの大学が連携して、「Advanced OSCE」に関する講演会、研究会、ワークショップなどを開催する動きも活発化しています。
 ただし、日本の医師国家試験で現実にOSCEを導入するには、かなり高いハードルがありそうです。「医師国家試験改善検討部会」では、2011年6月にまとめられた報告書で「卒後臨床研修を開始する前に、OSCEによる評価が必要であるとの認識は一致」しているとしながらも、「わが国において、標準化が可能なOSCEの確立に向けた段階的な検証が必要」との見解を示しています。そして、その後発足した研究班が2013年度までに行った検証では「評価方法の標準化に関して、実施方法、課題、課題数、シナリオ作成、評価者養成、模擬患者養成について課題がある」と指摘しています。
 また、先行している韓国では、学生がOSCE対策に一生懸命になるあまり、一定期間、ベッドサイドから遠ざかるケースも見られるという問題点もあるようです。
 ただし、当然のことながら、医師国家試験で課されるかどうかに関わらず、実践的な臨床能力を高めることが、医師として重要な条件であることに変わりはありません。「Advanced OSCE」についても、十分に対策を立てて真摯に臨むことが大切になるでしょう。

●和歌山県立医科大学の課題例

[課題1]
・ここはあなたが担当する外来です。
・72歳の男性が3カ月前から排尿障害を訴えています。
・10分間で前立腺の診察をしなさい。
・患者さんに説明し、診察体位を取ってもらいなさい。
・シミュレーターを用いて指診を行いなさい。
[課題2]
・診察の所見を述べなさい。
・鑑別すべき疾患を述べなさい。
・今後、必要な検査を述べなさい。

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