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地域医療への理解、関心を 高める教育プログラムを拡充 医学部教育の今

2015/05/15

地域枠の拡充と、「コア・カリキュラム」における地域医療関連項目の強化

 近年、医師が都市部に集中し、地方の医師不足が顕在化しています。若い働き盛りの時期に、知識・技術を磨くために、最先端の環境が整った大学病院、総合病院に勤務したいという気持ちはよく分かりますが、地域医療を支える人材を確保することもまた、重要なテーマといえます。

 行政側でも大きな課題と捉えており、いくつかの対応策がとられてきました。
 その1つが地域枠の拡充です。地域枠とは、卒業後の一定期間、地域医療に従事することを条件に、別枠で選抜を実施する入試です。合格すると、当該自治体から奨学金が給付されるなど、優遇措置も設けられています。地域医療に意欲のある学生を別枠の入試で受け入れることで、人材を確保しようという試みです。
 また、自治体の中には、地元の医学部に地域医療関連の「寄附講座」を提供して、地域医療教育の強化を促進しているところも見られます。
 さらに、医学生が卒業までに最低限履修すべき教育内容を、文部科学省が定めた「医学教育モデル・コア・カリキュラム」でも、改訂のたびに地域医療関連の項目が増加しています。2007年の改訂では、臨床実習に地域医療臨床実習を追加、2010年の改訂では、「医師として求められる基本的な資質」として「医療を巡る社会経済的動向を把握し、地域医療の向上に貢献するとともに、地域の保健・医療・福祉・介護および行政等と連携協力する」が明記されました。
 こうした動きに呼応して、多くの医学部で地域医療教育を充実させています。いくつか具体例を紹介しましょう。

独自の「地域基盤型医学教育」を展開する自治医科大学

 自治医科大学は、1972年、へき地等における医療の確保・向上を図るために、全国の都道府県が共同で設立した大学ですから、地域医療教育に先駆的に取り組んできた大学として知られています。1981年に、全国の医学部で最も早く「地域医療学講座」を設置。2004年にはそれを発展させた「地域医療学センター」を開設し、「地域基盤型医学教育」と名づけられた独自のカリキュラムを構築しています。
 1年次に早くも出身都道府県における「早期体験実習(院外)」を実施。地域医療の現場の雰囲気に触れます。2年次では、介護施設、訪問看護ステーション、授産施設などで「地域保健福祉実習」が行われます。多様な職種の活動を体感することで、新しい世界が見えるとともに、介護保健福祉分野に関わる人々への尊敬の念も高まるようです。3年次に17コマ開講される「地域医療1」では、家庭医療について学習。4年次に14コマ開講される「地域医療2」では、地域医療を取り巻く環境を理解し、リーダーとしての具体的な行動について技術と態度を習得します。5年次には、「CBL(Community-based Learning)」が全員必修になっています。約2週間、出身都道府県の病院で実施する実習で、将来の職場となる地域において先輩たちの活動を見聞きして、自らの将来設計を考えることができます。このCBLは、4・6年次でも希望すれば参加可能です。
 

研究会、海外研修などに参加する広島大学「ふるさと枠」の学生

 広島大学の地域枠である「ふるさと枠」で入学した学生は、広島県医師育成奨学金制度に基づき、将来、地元の医療を担うために集まった学生です。そのため、通常のカリキュラムだけでなく、プラスアルファの学びが求められています。
 たとえば、2週間に1回、フルセミと呼ばれる「地域医療研究会」に参加します。地域医療への理解を深める勉強会で、様々なテーマについて調べ、討論を重ねています。自治医科大学の学生と合同で行われる「夏期地域医療実習」では、地域の病院の診療を見学するとともに、患者へのインタビューの機会も設けられています。「冬の地域医療セミナー」は1泊2日の合同合宿で、地域医療関連のテーマについてグループワークを実施し、同じ志を持つ学生同士の一体感を醸成しています。海外研修制度も充実しています。2014年度は、ネパールで約1週間の日程で行われました。首都の大学病院に加えて、へき地の医療機関も訪問し、医療資源に恵まれない環境のもとで、どのような創意工夫を凝らしているのかを学ぶ貴重な場になっています。
 ところで、実は広島県は北海道に次いで2番目に無医地区が多いという課題を抱えています。「ふるさと枠」の創設だけではその課題を解決することはできません。他の学生にも地域医療への関心を高めてもらうことが不可欠になります。そこで、2014年度からスタートしたのが、5年生全員を対象とする「地域医療実習」です。2名1組の学生が、中山間地域の病院に1週間泊まり込んで行われる実習で、現場体験を通して、地域医療に親近感を持ってもらうことが目的です。
 

現場支援や生涯教育への貢献も視野に入れる鹿児島大学の「離島へき地医療人育成センター」

 鹿児島県は28の有人離島があり、離島人口約19万人は全国最多です。鹿児島大学医学部では、そうした地理的環境を受けて、2001年度、世界でも初めての試みといわれる「離島医療学講座」を設置。2007年にはそれを発展させた「離島へき地医療人育成センター」が発足し、「卒前卒後離島へき地教育プログラム」の開発を進めています。

 地域推薦枠の学生に対しては、1~4年次(年度によって実施学年は異なるが、複数回体験することが原則)に「離島医療実習」を実施しています。実習終了後には、学生が成果をプレゼンテーションする報告会も開催されています。
 学生への教育だけでなく、現場支援や生涯教育への貢献も視野に入れている点も、同大学の大きな特色です。たとえば、離島医療現場の診療に、大学病院が専門的な立場から支援を行うことができるITシステム「離島医療支援システム」を構築中です。さらに、離島医療を志向する中堅医師に対して、それまでの経験を考慮して、それぞれのニーズに応じたオーダーメイドの研修プログラムの提供も視野に入れています。


宮崎大学、近畿大学の取り組みと文部科学省のプログラムへの参加大学

宮崎大学では、2010年度から、宮崎県の寄附講座として「地域医療学」を開設して、1年次の必修科目にしています。講義テーマは【資料1】に示した通りです。講義を担当するのは同大学の教授だけでなく、同じような課題を抱える県の大学教授や、宮崎県の病院・診療所の医師などで、幅広い視点から地域医療を考える講座内容になっています。
 近畿大学では、2005年に文部科学省の「地域医療等社会的ニーズに対応した医療人教育支援プログラム」(医療人GP)に採択されて以降、「地域密着型医療教育システム」に力を入れています。毎年、5年生全員が、和歌山県串本町で、約1週間の滞在型実習を体験しています(毎週、交替で参加)。町内の高齢者や要介護者、患者などと接し、介護の手伝いや、健康面、生活面の悩みの聞き役を務めます。学生にとっては、きわめて刺激的な体験になっています。そのため、6年次や、医師国家試験合格後の研修中にも参加可能なのですが、「再参加」を希望する学生が多いそうです。
 そのほかの医学部でも、地域医療教育の充実に力が注がれています。2012年度、文部科学省のプログラム「医学部・大学病院の教育・研究活性化及び地域・へき地医療支援人材の確保」には、【資料2】の大学が採択されています。国立大学32、公立大学2、私立大学11の計45大学にのぼっており、多くの医学部が地域医療を重要なテーマと捉えていることが分かります。
 たとえ将来、大学病院や都市部の総合病院への勤務を希望している場合でも、在学中に地域医療への理解、関心を高めておくことは、すべての医学生にとって不可欠な素養と捉えて、真摯に学ぶことが大切だと思われます。

資料1
宮崎大学医学部「地域医療学Ⅰ」の講義テーマ
地域医療学講座が目指すもの/宮崎県の地域医療と大学病院の役割/地域医療のoff the job training/TICOとさくら診療所のチャレンジ-地球市民として行動する/映像で見るER・総合診療の世界/地域医療って何だろう?/「スーパージェネラリスト」になるには/翔け!総合診療医
 
資料2
2012年度文部科学省「医学部・大学病院の教育・研究活性化及び地域・へき地医療支援人材の確保」選定大学
北海道大学/旭川医科大学/弘前大学/山形大学/筑波大学/群馬大学/千葉大学/東京医科歯科大学/新潟大学/富山大学/福井大学/山梨大学/岐阜大学/浜松医科大学/三重大学/京都大学/島根大学/岡山大学/広島大学/山口大学/徳島大学/香川大学/愛媛大学/高知大学/九州大学/佐賀大学/長崎大学/熊本大学/大分大学/宮崎大学/鹿児島大学/琉球大学/京都府立医科大学/奈良県立医科大学/自治医科大学/順天堂大学/帝京大学/東京医科大学/東京慈恵会医科大学/日本大学/金沢医科大学/大阪医科大学/兵庫医科大学/久留米大学/産業医科大学

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